2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月19日

 今回の訪欧では、「新たなシルクロード」がスローガンのようですが、フランスに提示した20ページもの行動計画も、中国側の要求をフルに提示したものであると想像されます。

 2014年4月14日、WTO(世界貿易機関)は、2013年の中国のモノの貿易総額が、初めて米国を抜き世界第1位になったと発表しました。その総額は、4兆1600億ドル(約423兆円)に上り、前年比輸出8%増、輸入7%増でした。

 フランス始め、欧州各国を束ねるEUにおいても、この中国の経済力を無視できず、中国との関係は、人権よりもまずは経済ということを示すのが、上記解説記事です。もちろん、欧州内には、中国の不公正貿易に不満を持つ企業や人権問題に関心を有す団体もあり、それがダンピング調査や人権決議に結び付くこともありますが、各国政府は概して、経済利益中心に中国を見ているようです。

 ソーラー・パネルに関しては、以前、EUが中国をダンピング提訴したことがあり、その報復として、中国は、欧州(多くはフランス)のワインの輸入を制限したことがあります。当時、中国の安価なソーラー・パネルを必要としていたのはドイツでしたが、今回、両方とも解決して、独仏とも安堵しているようです。この例から見ても、中国がEU加盟国間の利害の相違を利用して外交を仕掛けて来ることも考えられ、EU内の調整が如何に難しいかが良く理解出来ます。

 なお、上記記事で1つ興味深いのは、現在危機が起きているウクライナ問題に関して、対ロシア制裁をすれば、漁夫の利を得るのは中国である、という指摘です。

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