2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2014年5月20日

 「保険会社で、米国での資産運用会社を立ち上げた事がありました。手を挙げて、社内起業に参画したわけです。その時に、ゼロから作りあげる大変さと面白さを経験したのです」

 ところが時間がたつと転勤を命じられた。サラリーマンとして当然である。

 「やっぱり自分が資本家でなければ、責任も果たせないし、経営もできない、と痛感したんです」。その時以来、いつかは自分で起業したいと考えていたという。その後、自身も社長になるが、「だんだん執着心がわき、社長でいることが目的化するように感じ始めた」という。自分が何のために働くのか、このままでは見失うのではないか。「他の人や社会のために何かをしたい」いわば人生の原点回帰が「起業」という結論だったのだ。ちょうど長男が就職し、長女も結婚した。親としての責任が一応果たせた、という思いもあった。

 岡村さんは企業研修に招かれると、50代の社員たちにこう問いかけている。「今の会社で50代は問題だと言われ続けながら、それでも会社にしがみついていくのは幸せでしょうか」。

 60歳の定年を迎えてから起業しようという人もいる。だが、本当に60歳になって起業するだけの自分を奮い立たせるエネルギーが残っているか。50歳から60歳までの貴重な10年間を中途半端に過ごしていいのか。

やりたいことをやる!
気概を持つべき

 安倍晋三首相が推進するアベノミクスでは、1つの柱として「起業大国」を掲げている。起業というと若者に期待がかかるのが常だ。アベノミクスも若い人材による起業を想定しているようにみえる。だが、前述のとおり競争が厳しい中で、若者が起業するにはリスクが大きい。ビジネス経験は乏しく、専門知識も不十分。出資を頼む人脈もない。あるのは気概だけである。なかなか成功は覚束ない。

 そんな中で、50代の起業こそリスクが小さく、成功の可能性が大きいのではないか。

 30年近いビジネス社会での経験を積み、なにがしかの専門知識を持つ。仕事で培った人脈も豊富だ。しかも、会社人生の先が読めてくる。会社に残ったとして定年まであと10年、自分がどんな仕事をしてどんなポストに就くかだいたい見えてくる。つまり、残りの会社人生での収入の総額も大まかにつかめるわけだ。


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