2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2014年5月20日

50代企業家の特徴
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 一方で子どもが巣立つまでの期間やそれまでにいくら費用が必要かもだいたい分かる。漠然とした将来しか描くことができない若い人に比べて、十分に計算が成り立つのだ。つまりリスクが小さいのである。

 一昔前、日本企業で50代と言えばサラリーマンとしての「収穫期」だった。若いうちは安い給料で死ぬほど働くが、50歳を過ぎて役職に就けば、仕事は概して楽になり、収入は格段にアップする。ところが「失われた20年」の間に、50代を取り巻く環境は激変した。経済が縮小する中で、ポストはなく、給料は上がるどころか下がり、挙げ句はリストラの対象だと言われる。

 成長しなくなった会社では仕事も面白くなくなった。経済が拡大していれば、会社は様々な新規事業に取り組む。ところが縮小均衡を目指すとなると、決まった仕事の奪い合いで、達成感は著しく減退する。

 実は筆者も50歳を前に(正確には48歳11カ月半で)24年間勤めた新聞社を辞めた。記者として育ててくれた会社には心から感謝している。だが、新聞産業が衰退する中で、どう考えても事業は縮小の一途で、自分が記者の命だと信じている「自由闊達さ」など望むべくもない。我慢してあと10年、少ないポストにしがみつくよりも、自分で自由に記事を書き続ける方が幸せだと見切った。早期退職支援制度があったお陰でもある。独立して3年あまり。多くの人に支えられて、好きな仕事をしながら生きている。

 取材先としてUBS時代から知っていた岡村さんも、先輩の菅原さんも、そして私も、会社を辞めたことをまったく後悔していない。後悔するような人は恐らく会社を辞めないだろう。そして我々の強みは「定年がない」ことである。働ける限り働く。大先輩のジャーナリストとして薫陶を受けている田原総一朗さんは4月15日で80歳になったがまだまだ現役だ。同じ4月15日生まれの私は28歳も年下である。人生は長い(寿命は神のみぞ知るだが)。

 50歳でリセットできるかどうか。問題は自分のやりたい事をやるという気概が持てるかどうかだ。つまり、会社を辞めてやりたい事があるかどうか、である。菅原さんが言うように、50歳になるまでに「会社以外の世界を持つ」ことがカギだろう。


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