“量”から“質”へのシフトが求められている
1997年をピークに、日本の新聞・雑誌の発行部数は減少を続けている。リーマンショックを機に大きく落ち込んだ広告収入も、回復の兆しはまったく見えない。一方で、ウェブ広告市場は、右肩上がりの成長を続けている(※下のグラフ参照)。
伸び続けるウェブの世界で活路を見出そうと、日本の新聞やビジネス誌はウェブメディアに力を注いできた。その多くは、無料で記事を見せて広告で稼ぐ収益モデルだが、ここ数年はアドテクノロジーを利用した「運用型広告」が伸びており、メディア側が得られる収益を目減りさせている(※下のグラフ参照)。
紙の収益が落ちていく一方で、ウェブでも収益を確保できない状況が続けば、メディアはジリ貧に陥るしかない。ジャーナリズムの質を維持していくためには、ウェブで収益確保ができるビジネスモデルを築いていかなければならない。日本でも一部のウェブメディアがすでに始めているが、「コンテンツ課金」や「付加価値の高い広告メニュー」の導入など、従来の“量で稼ぐ戦略”から“質で稼ぐ戦略”へと、柔軟にシフトさせていく必要がある。
今回はNYタイムズを例に、「コンテンツ課金」によって収益を確保する方策を紹介したが、次回は、「ウェブ広告の収益力強化」で実績を上げている米国メディアの取り組みを紹介する。