“濃い顔”の俳優たちがローマ人
興行収入が40億円を超える大ヒットとなっている『テルマエ・ロマエII』の原作は、ヤマザキマリが2008年から13年まで『コミックビーム』(エンターブレイン)に連載していたマンガである。その内容は、いたってシンプル。古代ローマ時代の建築技師・ルシウスが現代の日本にタイムスリップし、銭湯や風呂などの日本文化を持ち帰って、ローマ社会に反映させる。ストーリー性のあるギャグマンガだ。
フジテレビの製作による映画の一作目が公開されたのは、2012年のゴールデンウィークのこと。それは予想をはるかに超える大ヒットとなった。GWを過ぎてもなかなか客足が落ちず、口コミでどんどん広がっていった。最終的な興行収入は、この年の日本映画では2位の59.8億円、マンガ原作の実写映画でも2000年以降では6位、ドラマを経ない実写化ではトップである。
この映画のもっとも大きな特徴は、やはり日本の“濃い顔”の俳優たちにローマ人を演じさせたこと。主人公・ルシウスを演じるのは阿部寛。他にも、市村正親、北村一輝、宍戸開がローマ人を演じている。さらに、彼らが話すのも日本語だ。周囲にいる白人も、アフレコで日本語を話している(ぜんぜんリップシンクしていない)。最初から字幕をつけることはしていない。この大胆な設定、なんともマンガ的である。
原作にはない映画独自の脚色としては、マンガ家のタマゴで温泉宿の一人娘・山越真実に上戸彩を配したことだろうか。このキャラクターは、原作の小達さつきというヒロインをベースとしているが、明確に異なる人物となっている。
もうひとつ映画の特徴としては、壮大な古代ローマのセットである。街並みやコロッセオなどの造形は、ビックリするほど豪華。前作ではイタリアのチネチッタだったが、『II』ではブルガリアにかなり立派なオープンセットを造ったようだ。これとCGを合成させて、日本映画とは思えないような壮大な映像を実現している。このスケール感はかなり説得力があった。
原作 ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」(KADOKAWAエンターブレイン刊)
監督 武内英樹 脚本 橋本裕志
製作:フジテレビジョン 東宝 電通 KADOKAWA
特別協力:日本出版販売
制作プロダクション:フィルムメイカーズ
(C)2014「テルマエ・ロマエⅡ」製作委員会