M子ちゃんと弟の間には、もう1人七中に通っている妹がいます。しかし、東京に引っ越したら妹はそこの公立中学に転校する予定まで、すでに親が決めていることもM子ちゃんは話しました。
M子ちゃんは秋津が大好きで、本心では秋津から離れたくないのです。
けれども親の負担の大変さも理解しています。だから、誰にも相談できずに1人で悶々としていたのでしょう。たまたま私に心情を吐露したのです。
そんなやり取りの数週間後に、先の電話をしてきました。
「そう、決まったんだ。だけど、お父さんもお母さんも君たちのためにがんばっているんだから、M子は文句をいっちゃダメだよ!」と、私は応えるのが精一杯。
「わかっているっ!」「けど……」
「ほら、元気出して!」「そして東京に行ってもM子らしく、友だちを一杯つくって元気にやんなきゃね!」
そんなやり取りがしばらく続きました。
そして、最後にM子はこういって電話を切りました。
「うん、ユーくん、東京でがんばるから! 秋津にも遊びに来るから!」と。
受話器を置き、M子の心情を推し量り、切なくなりました。でも、M子が電話をしてきたことに感謝しました。
地域で育つ「未来の納税者」
このM子ちゃんは、コミュニティルームが開設した頃はまだ就学前。だから入学した頃には、親や住民が参画しての授業や運動会などの協働行事はあたり前であり、また秋津コミュニティのさまざまな活動に参画し、放課後や休日にも学校にやって来てはおじさんやおばちゃんたちと交流しながら成長していきました。
こんなM子ちゃんに象徴される「秋津モデル」で育った中学や高校生の青年層はたくさんいます。そしてこの青年たちは数年後には社会人となり、納税者になります。
ということは、もし仮に、私やノリノリ団の親父たちが年を重ねて要介護認定者になり、若者の税金を使わせてもらうことになったなら、彼ら彼女らは私たちのために納税しその税金を使わせてくれるでしょうか。