2024年4月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月19日

 ところが、馬英九政権は、中国の反日感情に追随して、日本は軍国主義の方向に向かっていると考えているようである。これは現実に合致しないばかりか、同盟国の防衛強化を支持している米国の動きにも反するものであり、また日台関係の発展にとっても有害である、と論じています。

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 頼怡忠は、台湾民進党系の論客です。論説は、4月のオバマ大統領のアジア歴訪を踏まえ、米・日・ASEANの動きなどを全体的に観察して、台湾は中国に追随して間違った方向に進むべきではない、と警鐘を鳴らしています。これは、正鵠を射た指摘です。

 馬政権は、本来、中国との関係では「不統、不独、不武」(統一せず、独立せず、戦わず)の「現状維持策」を取ることを公言してきましたが、この数年間、特に経済面、人的往来面において中国に大きく傾斜しています。「現状維持」なる政策は、必ずしも固定した所与のものではなく、不断に動き得るものです。中国側は、その曖昧さを利用して、経済的、人的交流の分野において台湾への影響力の浸透、拡大を図り、成果を収めています。

 今日の状況下では、馬政権が当初目指していたような中国、米国、日本それぞれとの間で「全方位外交」を展開するなどということは不可能であるということが、より多くの台湾人によって認識されるようになったと思われます。

 なお、南シナ海における最大の島「太平島」は今日台湾が軍用滑走路を持ち、実効支配していますが、その領有権の主張は中国の「9点線」に近いこともあり、台湾としてはその法的根拠を早急に再検討しなおす必要性に迫られています。

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