4月21日付け米ワシントン・ポスト紙で、オバマ大統領の前安全保障補佐官のトム・ドニロンが、オバマのアジア歴訪を前に、オバマのアジア回帰政策を擁護しています。
すなわち、最近、米国のアジア回帰政策の維持可能性について、中東、欧州での出来事への対処の必要などで疑問が提起されている。しかし、この政策は、正しい戦略である。中東、南アジアでの戦争から、米国に最も意義ある地域にシフトしようという政策である。
アジア回帰政策は、クリントン前国務長官が最初の外国訪問をアジアにしたように、オバマ政権当初から実施された。アジアの社会・経済発展における米国の役割の重要性の認識が、その根底にあった。過去、米国が自由貿易と平和を守ったから、アジアは安全で繁栄してきた。今は、領土紛争、民族主義、力関係の変化、北朝鮮の脅威があり、米国の存在は不可欠である。
オバマ政権は、米国とアジアの未来は結びついていると考えた。世界人口の半分以上、生産の半分を、アジアは占め、最も成長している経済を擁している。
米国のアジアの安全保障へのコミットメントは相当なものである。同盟を近代化し、航行の安全や人道危機への対応力も強化している。国防予算削減のなか、2020年までに、米国の太平洋での海軍力を全体の6割にしようとしている。
しかし、アジア回帰は軍事面に限られず、外交と貿易により強い力点がある。その中心はTPPである。これは世界のGDPの40%を占める巨大な貿易投資枠組みを作ろうと言うことで、米国には年780億ドルの収入増につながる。
TPPの最も重要な目的は戦略的なものである。これは欧州との同様な取り決めとともに、米国を次世紀の世界経済規則作りの中心にする。TPPは自由市場を広げる契機になる。