2024年11月22日(金)

患者もつくる 医療の未来

2014年6月13日

 厚生労働省の正門を入ってすぐの左手の敷地内には、1999年8月24日に「薬害根絶誓いの碑」が建立されています。そこには、「命の尊さを心に刻み、サリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と刻まれ、今も毎年8月24日には、厚生労働大臣が碑の前で「薬害根絶の誓い」を続けています。

消費者は様々な情報を入手して判断すべき

 ただでさえ、インターネットでの買い物は消費者にとって危険度が高いものです。無許可業者の偽のページや非承認薬の販売サイトを開いているのに気付き、厚生労働省がサイトを削除させた件数が、ネット販売解禁直前の2カ月間で35件もあったと報道されています。今後は、都道府県に監視させる予定ですが、既に1000を超える業者が参入予定で、最も多い大阪府では、担当官が、多すぎてチェックが大変だという声を上げているという報道もなされています。

 また、患者が悪質な業者から乱用のおそれがある薬を大量に購入するケースが出て、薬物乱用につながるのではないかという危惧も指摘されています。

 にもかかわらず、これからは、「医薬品を使用すればするほど健康になる」「医薬品の使用はメリットこそあれ、デメリットはない」と誤解してしまうようなCMが、テレビだけでなく、ネットやメールなどでも頻繁に流されるようになるかもしれません。

 患者や消費者を守る専門家の関与や国の規制が少しずつ取り払われて行く中では、専門化任せにはできなくなるため、消費者としての意識やリテラシーの向上が今まで以上に必要になってきます。

 厚生労働省は、「薬害を学ぼう」というサイトも作っています。4年前から、全国の全ての中学3年生に毎年「薬害を学ぼう~どうしたら防げるのか、なぜ起こったのか~」と題した8ページのパンフレットを配布していることに連動したサイトです。2年前から、学習指導要領が改訂され、中学や高校の社会科や公民の授業で、消費者保護や、薬害について教えるようになりましたが、そのような教育は始まったばかりです。シンナーや麻薬などの薬物乱用の教育ばかりが進められてきましたが、これからは、医薬品についてもしっかりと学んでいく必要があるでしょう。


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