患者もつくる 医療の未来

2014年6月13日

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患者不在の規制緩和議論

 その後も医薬品販売の規制緩和の議論は続き、2009年からの薬事法改正では、薬剤師が常時いなくても、一定の要件を満たす店舗であれば、第2類と第3類の医薬品を販売しても良いことになりました。また、その際、厚生労働省は、インターネットでは第3類の医薬品を販売してもよいという決定をしました。

 しかし、インターネット販売の業者が、その厚生労働省の決定は、薬剤師会の既得権益を守るものであり認められないという立場から、インターネットでも第1類や第2類も販売できるように規制の撤廃を求めて裁判所に提訴しました。その結果、昨年1月に最高裁で厚労省の規制は違法だ、という判決が出されたのです。

 しかし、この最高裁判決の主旨は、第1類及び第2類の一般用医薬品のインターネット販売を一律に禁止することは、職業活動の自由を妨げているというものであり、特に、そのような規制を、法律に基づかず、厚生労働省が省令だけで規制していることはよくない、というものでした。

 つまり、患者や消費者の立場に立って、医薬品がどのように販売をされるべきか、安全性は確保されるか、などの吟味がされたわけではなく、販売する側の公正な競争が確保されているか、また、厚労省の省令による規制が法律に基づいていると言えるかどうか、ということだけが判決で示されたに過ぎませんでした。つまり、規制するなら省令ではなく法律できちんとやりなさい、ということだったわけです。

一般用医薬品販売を手放して
薬剤師会が得たもの

 そして、今回、政府は新たに法律によって規制緩和を進めました。一般用医薬品のほぼ全てをインターネットでも販売できるようにしたのですが、その一方で、医療用医薬品の販売については、対面販売のみにすることも法律で明記しました。医療用の医薬品の売り上げ規模は一般用医薬品の10倍近くあります。これはインターネットでは販売できないことに従来からなっていましたが、あくまでも厚生労働省の省令によるものでしたから、再度この件でもインターネットの業者から提訴されると、裁判所に「法的根拠のない省令だ」と言われてしまう可能性がありました。そのために、今回、医療用医薬品は対面販売のみ、ということを法律に明記したわけです。

 ゆくゆくは、一般用医薬品に続いて、医療用医薬品もインターネット業者にとられていくかもしれないと危機感を感じていた薬剤師会などにしてみれば、この決定で少しは胸を撫で下ろしているのかもしれません。

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