第1類の中でも、一部インターネットで販売できないものは、特に劇薬とされているもの、及び、医療用医薬品から一般用医薬品にスイッチされて3年経っていないものだけになりました。現段階では、それらに該当するのは20品目だけで、劇薬として、勃起障害等改善薬などの5品目、医療用医薬品からスイッチされて3年経っていないためネット販売できないのは、アレルギー用薬などの15品目です。
これらは、薬局で直接、薬剤師と対面しての販売が義務化されるわけですが、後者のスイッチ薬は、市販後から3年経ったものから順次インターネット販売が可能になっていきます。一方で、今後も更に、医療用医薬品が一般用医薬品にスイッチされていくものがあるとすれば、それらは、スイッチされた後の当初3年間は対面販売が義務づけられることになります。
コンビニから始まった医薬品の規制緩和
医薬品販売の規制緩和については、10年以上にわたる議論が続いてきました。その基本的な構図は、「薬剤師会VS財界」です。つまり、実質は、薬を売って収入を得る権益の取り合いの形であって、患者や消費者は二の次の議論でした。
まず、1994年頃に、コンビニで薬を販売できるようにする規制緩和が持ち上がりましたが、薬局を個人経営している薬剤師が多い中、既得権益を持つ薬剤師会は「安全性を確保できない」としてコンビニでの販売に反対しました。
薬害の被害者団体も、薬剤師など専門家を介さないコンビニでの販売には反対の姿勢でした。しかし、薬剤師会に対しても「薬剤師は薬害を知っている。薬害を知らないコンビニの店員に薬を販売させることはできない、と言えるようになってほしい」と注文をつけました。そのため、薬剤師会は、薬剤師が薬害を学ぶ研修会を再三企画したりしました。当時は、薬局の販売の現場でも、「薬剤師がいるかどうかわからない」「誰が薬剤師かわからない」という声や「薬剤師も何の会話もないまま薬を販売している。コンビニでレジをうっている店員と変わらないのではないか」という消費者の声が上がっていました。これらを受けて、薬剤師会は、薬剤師が誰かわかるように名札をつけたり、薬剤師として薬の説明をしたりすることの徹底をはかったりしてきました。
その結果、このときのコンビニでの医薬品販売の規制緩和は実現しませんでしたが、その代わり、それまで医薬品だったものの多くを「医薬部外品」に移行させることで、コンビニでそれまで販売できなかったものの多くが販売できるようになるという形で一定の規制緩和も進めるという方法を政府はとりました。