2024年7月20日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2014年6月14日

――日本代表の戦いぶりに目を移すと、オシム監督が就任し、「日本化」をポイントにしていましたが、病で倒れ、岡田監督が後を引き継ぎました。南アフリカ大会では、岡田監督は守備的な戦いを徹底し、ベスト16まで勝ち上がりました。しかし、その戦い方には賛否両論あったわけです。それを引き継いだ、現監督のザッケローニは「日本化」という点ではどう評価されますか?

吉崎:日本化ということでは失敗していると思いますね。なぜザッケローニが代表の監督に選ばれたかを考えると、南アフリカ大会で岡田監督が守備的な戦い方を選択し、それを踏まえつつ(守備が堅いと言われる)イタリア人ながら攻撃的な戦い方ができるからなんです。

 また、就任当初から「バランス」ということを事あるごとに言い続けてきました。先ほど述べた「守備的でありながら攻撃もしっかりし掛けることができる」ということです。しかし、そう言い過ぎたあまり選手たちは、自分で考えられなくなり、時に必要となるバランスを破るようなプレーができなくなってしまった。そこで、去年の5月頃から今度は「強度、強烈さ」を意味する「インテンシティ」という言葉を盛んに使うようになりました。これは、言い換えるなら自分の力を発してプレーしろということです。

 ただ、一番状況の悪かったとも言える昨年10月のセルビア戦の後、「ファウルしてでも相手を止めろ」と発言していましたが、これはもっと大きく取り上げられるべき問題で、代表チームの選手にそんなレベルの低いことを教えていいのかと。

 要するに、ザッケローニは日本人と欧州の人たちの「個」というものが違うということに気がついていなかったのではないかと思うのです。

――ここで言う日本化とは具体的にどんなものでしょうか?

吉崎:キリスト教社会には存在し得ないサッカーで、具体的には、個よりも組織、グループのために自分を犠牲にし、相手の予想を上回るオートマティズムを構築していくサッカーです。

――果たして日本が強くなるには、サッカー強国のように欧州化するのか、日本化するのかどちらがいいとお考えですか?

吉崎:それはこの本でも詰め切れなかった部分なんですよ。でも、その切り口として「個」というものは考えなければいけない問題。この点を提起するのが本著の役割です。これまでずっとシステムの話ばかりでしたから。数字を並べても、ピッチにいるのは個人で、それが見落とされがちでしたからね。ひとつ言えるとすれば、日本人プレーヤーはヨーロッパ・南米の知らない「組織」をきっと知っている。それはアドバンテージになりうるだろう、ということです。じゃあ彼らの知らない「組織」とは何かも……解明できていませんが。


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