「2025年でも東京圏は世界一の人口規模」(国際連合推計)であることから「実需が強み」という声もあるが、高齢者の割合が高まるなかで購買意欲や、実際の購買力をどのくらい維持できるのか不明だ。
舛添要一東京都知事は「優秀な金融人材の獲得」「シンガポールから仕事を奪い返す」ことによって「東京を稼げる街にする」と意気込むが、具体的にどうやってそれを実行していくのかこれからの手腕が問われる。
1948年、福岡県生まれ。71年東京大学法学部政治学科卒。東大法学部政治学科助手、パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員、ジュネーブ高等国際政治研究所客員研究員を経て、東大政治学助教授。2001年参議院議員に初当選。安倍晋三内閣、福田康夫内閣、麻生太郎内閣で厚生労働大臣。14年2月から現職。(写真・NORIYUKI INOUE)
東京を金儲けできる都市に
シンガポールから取り戻す
2020年のオリンピック・パラリンピックだけが目標ではなく、さらに先、10年後、20年後の東京の姿を考えながら、まちづくりをしていかなければならない。
外資系企業をもっと東京に呼び込むためには、お金儲けできる都市だと思ってもらう必要がある。お手伝いさん(シッター)を受け入れるという話もあるが、受け入れるべきは、金融分野などで新しい商品開発ができる世界最高級の人材だ。
こういう人たちは、お金儲けできる都市であれば、家賃など物価が高くても、必ず来る。分かりやすくいえば、1カ月に100万円の家賃を払っても、1000万円を稼げる都市になればいい。100万円の家賃を払って150万円しか稼げない都市だから来ないだけだ。
東京は、シンガポールと比較されるが、日本は1億2500万人の人口を抱えたGDPで世界3位の大国だ。東京は、シンガポールに都市の規模で勝っている。この大きさがあって初めてできることがある。だから、負けるはずはないが、負けている。東京オリンピック・パラリンピックを契機に、東京の魅力を磨いていき、金融や創薬の拠点などシンガポールから一つずつ取り戻していく。
WEDGE7月号 特集1.激しい都市間競争を勝ち抜け 「TOKYO」アジアNo.1都市へ
・外国人が語る東京の魅力と課題
・経営、起業、英語、もの作り……
・乙武洋匡さんが描く東京五輪
・仏フィガロ記者が注目する「食」
・シンガポールはベンチマークか
・舛添要一知事「稼げる街にする」(本記事)
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