もはや「PV」は重要な指標ではない
「“消費された時間”と“読まれた深さ”と“シェアの数”。この3つが私たちの重視する指標です」(Jay Lauf氏)
PCやタブレットからQuartzにアクセスすると、その時々の目玉記事に直接ランディングする。新着記事の一覧は、ページの左側に縦一列に配置されているが、記事を読み進めるために下にスクロールしていくと、ページをめくることもなく、次の記事が続けて現れる仕組みとなっている。Facebookのタイムラインをイメージしてもらうとわかりやすいが、そこにはもはやPVという概念はない。
また、多くのウェブメディアが本文の右側に配置している広告枠もなく、記事を読むことに集中できる環境が用意されている。広告はどこに配置されているかといえば、記事と記事の間に挟み込まれており、記事を一本読み終えるたびに画面の横幅いっぱいに展開される大型のディスプレイ広告が目に飛び込んでくる仕掛けだ。
Pew Research Centerのシニアリサーチャー・Jesse Holcomb氏も、「Quartzはビジネスモデルのアップデートに挑戦的だ」と、その手法を高く評価する。
収入の3割を占める「ネイティブ広告」
「Quartzは無料でコンテンツが読めるメディアなので、収入は広告から得ています。内訳は、ディスプレイ広告が7割、ネイティブ広告が3割ですが、ネイティブ広告の割合は着実に増えてきており、すでに大きな収入源になっています」(Jay Lauf氏)
ネイティブ広告とは、記事と同様のフォーマットを使ったスポンサー付きコンテンツのことである。ディスプレイ広告に比べて、ネイティブ広告はアドテクノロジーの進化によるデフレ化の影響をあまり受けておらず、収益性が高いと言われている。
しかし、Quartzのサイトを一定期間ウォッチしたが、ネイティブ広告を見かけることはめったにない。この点について質問すると、「立て続けに出ることもあれば、まったく出ない日もある。新着記事一覧に掲載されるのも、1日か2日くらい」(Quartz広報担当者)とのことだった。アーカイブされているネイティブ広告を教えてもらい、その日付を調べてみたが、均して月に1~2本程度のペースと推測される。それだけ数が少ないにも関わらず広告収入の3割を占めるということは、それだけ“広告単価が高い”ことを意味している。