高い収益性を保つ秘訣とは何なのか。Jay Lauf氏は、「ネイティブ広告も、純粋な編集記事と同様に“質”を重視している」と語る。たとえば、Bank of Americaから依頼を受けて制作したこちらのネイティブ広告は、元ロイターの記者を起用することで、コンテンツの質を担保したという。
ネイティブ広告はQuartzに限らず、NYタイムズも採用しており、日本進出を発表した新興メディアBuzzFeedも、2013年の年間収益60億円は「すべてネイティブ広告によるもの」(BuzzFeed GM Video & VP Agency Strategy・Jonathan Perelman氏)だという。
ネイティブ広告には「透明性」が重要
このように、ネイティブ広告はその収益性の高さから「メディアの救世主になり得る」との期待の声がある一方で、「読者のリテラシーの低さに依存しており、短期的に収益を伸ばせたとしても、メディアとしての信頼を失えば本末転倒になる」(ボストン在住のジャーナリスト・菅谷明子氏)との厳しい意見もある。
この点について、Jay Lauf氏は「透明性が重要」と語る。Quartzではネイティブ広告に「Sponsor Content」と明記しており、読者が純粋な編集記事と勘違いしないように配慮されている。また、編集記事のスタッフと完全に分離することで、編集権の独立も担保しているという。
しかし、どこまでわかりやすく表記すれば、読者の信頼を裏切らないことになるかはターゲットとする読者層によって意識も異なる。そこはメディアごとに感触を探っていくしかないだろう。
また、「広告主は、純粋な編集記事と勘違いして読んでもらえることに高い価値を見出している」(菅谷明子氏)との指摘もある通り、広告であることを明確にするほど、ネイティブ広告の収益性は損なわれていく可能性が高い。
ただ、そのようなジレンマを抱えつつも、従来の“量”(=表示回数)に応じて稼ぐ広告モデルは、今後さらに厳しくなることは間違いない。メディアがジャーナリズムの質を担保していくには、記事と同様に“広告の質”も重視しながら、高単価な収益モデルを築いていく必要があるといえるだろう。