2024年11月22日(金)

解体 ロシア外交

2014年6月25日

東部への軍事介入は?
ロシアの出方

 だが、この停戦は完全なる一方的停戦ではなく、もし親露派が「軍部隊や市民への攻撃を行った場合は応戦する」ともされ、親露派が停戦に応じなければ、状況は何も変わらないともいえた。

 実際、20日に親露派武装勢力は和平計画を全く信頼できないとして拒否し、交戦を続けた。21日にもスラビャンスクやロシアとの国境地帯で激しい戦闘が起きた。ロシアとの国境については20日にウクライナ軍が奪還を宣言していたが、同日深夜には80人以上のウクライナの国境警備隊が武装勢力に追われ、ロシアに助けを求めたという報道まである。ロシアからの戦車や燃料車の新たな補給も報じられている。

 欧米諸国首脳は、ウクライナ政権による停戦を歓迎する一方、ロシアが即座に具体的な緊張緩和策をとらない場合は、追加制裁を行う方針でも一致している。

 だが、プーチン大統領はウクライナ政府による停戦の提案を支持し、戦闘に終止符を打つよう訴える一方、停戦期間にあてつけるかのように、中央軍管区の部隊に対し21日から28日まで演習を実施するよう指示した。こうなると、国境警備を名目にしてロシアが介入する可能性も否定できなくなると筆者は今後の状況悪化を危惧していた。

 しかし、今後の状況も決して楽観できないとはいえ、23日に平和的解決の可能性が出てきた。ウクライナ東部の親露派「ドネツク人民共和国」で「首相」を務めるボロダイがウクライナ政府による停戦の提案を受け入れ、自分たちも攻撃停止を約束すると発表し、27日までの停戦期間の間に平和的解決に向けた交渉開始についても合意したいと述べた。

 ここで、双方が停戦を遵守し、東部親露派の代表が自ら交渉の意思を見せたところを好機ととらえ、ウクライナ政府側も「テロリストとは交渉しない」というスタンスから脱して、交渉に臨めば、平和的解決も可能となりうるだろう。

 逆に、停戦が遵守されず、軍事衝突の規模が拡大するようでは今後の展望は極めて暗くなる。筆者はいまでも、プーチンはウクライナ東部への軍事介入を避けたがっていると考えているが、今後、東部親露派の被害があまりに大きくなれば、ロシア人保護をモットーとしているプーチンが何かの手立てをとらざるを得なくなる可能性も高い。

 まずはウクライナ新政権と東部親露派が相互に納得のいく平和的解決が導かれることを望みたい。

【6月23日脱稿】


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