韓国の法務部(法務省に相当)は3日、ストーカーの被害者が、ストーカーが接近した場合にその位置をリアルタイムで追跡できるモバイルアプリを開発中だと明らかにした。このアプリは、電子監視法の改正に伴う措置として承認されたもの。
韓国では近年、ストーカー関連の重大犯罪が大々的に報じられ、ストーカー行為が社会的関心事となっている。
現行法では、ストーカーの被害者には、ストーカーが近くにいる際にテキストメッセージで警告が通知される。ただ、ストーカーの正確な位置は分からない。
そのため、加害者がどの方向にいるのかを判断するのは現状では難しいと、法務部は声明で指摘した。
改正法では、被害者はスマートフォンに表示された地図上でストーカーの位置を確認し、安全な場所へ避難できるようになる。
当局は、ウェアラブル電子機器を用いて、ストーカーがどこにいるのか追跡する。
法務部は、この追跡システムを全国の緊急ホットラインに統合し、必要に応じて警察を出動させて被害者を保護できるよう取り組んでいるとも説明した。
この統合は来年中に完了する見込みだと、地元メディアは報じている。
韓国でストーカー行為が広がっていることに、批判的な声が上がっている。ストーカー行為は、女性に対する暴力というより広範な問題の一端とみなされている。韓国では多くの女性が盗撮されたり、フェミニストだという理由から脅されるなどしている。
2022年には若い女性が、長年つきまとわれていた元同僚の男に殺害される事件が起き、国民の怒りが噴出した。殺害された女性は、元同僚のことを警察に通報していたが、当局は「リスクが低い」と判断。男を拘束したり、接近禁止命令を出したりしていなかった。
韓国では2021年に反ストーカー法が施行され、加害者に最長3年の禁錮刑と最大3000万ウォン(約315万円)の罰金が科されるようになった。
2023年、韓国国会はストーカーを起訴するのに必要な要件を緩和する法改正を行った。
以来、ストーカー関連の通報件数は急増。昨年は1万3000件と、2022年の7600件から増加したことが、法務部のデータで示されている。
(英語記事 South Korea developing app that shows real-time location of stalkers)
