Q:今後どのような日本企業の進出を望むか。
マクローリン クリーブランド周辺で得意とするのは医療技術、化学、産業ハブ、食品、電子部品などになる。特にポリマー化学は今後の発展が期待できる分野だ。また、ロボティクスやドローンも今後の物流の中で大きな役割を果たすもので、この分野の成長にもオハイオ州は対応している。
ドラン オハイオという地域の特徴を活かし、米国でのビジネスの幅を広げたい、と考える日本企業にとって最適な環境を提供できる。例えばカリフォルニアやニューヨークに販売や流通の拠点を持つ企業が、米国市場へのより深い参入を求め、関税問題などを回避するため製造拠点を持ちたい、と考える場合。オハイオにはエコシステムも労働力も、他州と比べて安価なエネルギーもある。
海外企業と協議する中で感じるのは、彼らはエネルギーコストだけではなくそのエネルギーがサスティナブルなものかどうかに注目している、という点だ。再生可能エネルギーは(トランプ政権になってから)あまり注目されなくなったが、オハイオ州にはバイデン政権時代に作られた水素ハブも存在し、しかも天然ガスと水から、という異なる方法で水素を生み出すハブがある。
マクローリン ポリマーハブもそうだ。クリーブランドには持続可能なポリマーハブがあり、持続可能性に関わる企業はバイデン政権時代の資金と州政府の資金を利用して、パイロットプロジェクトを実施することができる。音響科学もまた注目すべき分野のひとつで、オーディオテクニカはマイクやその他の音響機器を製造しており、主要なコンサートシリーズや授賞式、おそらく大統領が使用するマイクが、日本企業によって製造され、日本の技術がオハイオ州に輸出され、オハイオ州から流通・販売されているというのは、本当に素晴らしいことだ。
Q:トランプ関税が米経済に与えている影響は?
ドラン 関税は企業が市場に公平にアクセスするために必要なものだ。今回の関税がどのような結果をもたらすのかは未知数だが、現時点ではそのプロセスはあまりうまく行っていない、と感じる。個人的な見解だが、中国を巨大な経済的脅威として認識し、中国の勢力圏にある国々と米国との関係が深まれば深まるほど、世界はより良くなるだろう。そのためにも、日本との関係を深めることは極めて重要だ。同時にインド、韓国、ベトナムなど東南アジアからの投資も募っている。
マクローリン 現在オハイオには多くのデータセンター建設計画が進行中でもある。しかしデータセンターには大量の電力が必要で、我々はデータセンターを独立したグリッドに頼らない電力で運営する方向性を探っている。データセンターの液冷システムを開発する企業もクリーブランド周辺には存在し、より安価で安全なデータセンター建設を模索する企業にとって魅力的な候補地になっている。
ドラン 日本政府はトランプ関税の合意事項で5500億ドルの対米投資を発表したが、それがどのように国内で分配されるのか、などはまだ未定だ。しかし日本企業が製造拠点を米国内に置く方向ならば、オハイオは非常に魅力的なオプションになるだろう。
