2025年12月25日(木)

BBC News

2025年12月25日

フランスは2020年、同国による植民地支配に抵抗して殺害されたアルジェリア人戦士24人の遺骨を返還した。画像はアルジェリア国旗で覆われた棺(ひつぎ)に敬礼するアルジェリア人男性

アルジェリア議会は24日、1830年から1962年まで続いたフランスによる植民地支配を「犯罪」と断じ、謝罪と賠償を求める法案を、全会一致で可決した。

同法案では、植民地主義の称賛も犯罪になると、国営テレビは報じている。

今回の採決は、アルジェリアとフランスの外交で緊張がますます高まっていることを改めて示している。一部の観測筋は両国の関係について、63年前にアルジェリアが独立して以来最低の水準にあると指摘している。

フランスによるアルジェリア植民地支配では、集団虐殺や大規模な強制移住が行われた。こうしたフランスの支配は、多くの血が流れた独立戦争によって終結した。アルジェリア側は戦争で約150万人が殺害されたとしているが、フランスの歴史家らは死者数をこれよりずっと少なく見積もっている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は以前、アルジェリア植民地支配について、「人道に対する罪」であったと認めている。だが、謝罪はしていない。

AFP通信によると、今回の法案の可決を、アルジェリアの議員たちは「アルジェリア万歳」と声を上げながら拍手し喜んだ。議員たちは国旗の色のスカーフを身に着けていた。

この法案は、フランスが「引き起こした悲劇」に対する「法的責任」をフランスが負い、「完全かつ公正な」賠償は「アルジェリア国家と国民の不可侵の権利」だと定めている。

フランスはこれまでのところコメントしていない。

近年、西側諸国に対しては、奴隷制や植民地主義への賠償や、現在も西側諸国の博物館に保管されている略奪品の返還を求める圧力が高まっている。

アルジェリアの議員たちは、16世紀の青銅製大砲「ババ・メルズーク」(祝福された父の意味)の返還をフランスに求めてきた。これは現在の首都アルジェを守る象徴とされていた。

フランス軍は1830年、3度目の試みでアルジェを占領し、この大砲を持ち去った。現在はフランス北西部の港湾都市ブレストにある。

フランスは2020年、フランスによる植民地支配に抵抗して殺害されたアルジェリア人戦士24人の遺骨を返還した。

先月にはアルジェリアが、正義と賠償を求めるアフリカ諸国との国際会議を主催した。

アルジェリアのアフメド・アッタフ外相は、奪われたものの返還は「贈り物でも好意でもない」ことを明確にするために、法的枠組みが必要だと述べた。

マクロン仏大統領は昨年、西サハラに対するモロッコの主権をフランスが承認し、この係争地で限定的な自治権を持つ計画を支持すると発表。アルジェリアとフランスの関係は悪化した。

アルジェリアは、西サハラ独立を求めるポリサリオ戦線を支援しており、同組織の主要な後ろ盾とみなされている。

2024年11月には、フランス系アルジェリア人作家ブアレム・サンサル氏がアルジェ空港で逮捕され、裁判で禁錮5年の刑が言い渡された。アルジェリア検察はサンサル氏について、アルジェリアの国境を疑問視する発言をし、国家安全保障を脅かしたとしていた。

サンサル氏は今年11月、アルジェリアのアブデルマジド・テブン大統領の恩赦で釈放された。

(英語記事 Algerian law declares France's colonisation a crime

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c865xx43ew4o


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