2026年1月14日(水)

Wedge REPORT

2026年1月14日

 新年早々の8日に火の手が上がった山梨県上野原市の山林。すでに1週間が過ぎて百数十ヘクタール(ha)を焼いたが、鎮火の目途は立っていない。

1月9日山梨県上野原市。延焼中の扇山で消火活動を行うヘリコプター(時事通信)

 ところで、上野原市は元旦に林野火災注意報を出していたことをご存じだろうか。まさに今年から総務省消防庁は、新たに市町村が「林野火災注意報・警報」を出せるように改定したばかりだった。

 これは昨年、岩手県大船渡市で大規模な山火事が発生したことを機に検討されてきたものだ。まさか新制度を開始した直後に大規模な山火事が発生するとは思わなかった。

 しかし、意外と山火事が起きるメカニズムや、山火事による環境変化は知られていない。そうした分野を扱う「火の生態学」(ファイヤー・エコロジー)について考えたい。

日本の山火事の多くの原因

 まず「林野火災注意報」の発令基準を示す。

1.前3日間の合計降水量が1ミリメートル(mm)以下かつ前30日間の合計降水量が30mm以下

2.前3日間の合計降水量が1mm以下かつ乾燥注意報が発令されている

 このいずれかの条件に該当すると山火事が発生しやすくなるから注意報を出すべきとされる。ただ当日に降水や降雪がある場合は、この限りではない。

 そして「林野火災警報」は、この条件に加えて強風注意報が出た場合に発令される。ただ地形や風向きなどは各地で違うので、最終的な発令判断は自治体に任されている。

 発令すると火の使用制限がかかる。具体的には、山林や原野での火入れ(野焼き)をしないこと。花火をしないこと、屋外で火遊び、焚き火をしないこと、引火性または爆発性の物品その他の可燃物の付近で喫煙しないこと、山林、原野等の場所において喫煙をしないこと、残火(たばこの吸殻を含む)や取灰または火粉を始末すること……が挙げられている。

 注意報の場合は努力義務、警報では義務となる。警報発令時に「火の使用制限」に従わなかった場合には、罰金または拘留に処すことも消防法で定められた。

 山火事は、年間を通じて発生するが、冬から春にかけて多い。この時期は、降水量が少なく、空気が乾燥し強風がよく吹くからである。2020年から24年の月別出火件数を見ると、6割超が2月から5月に集中している。

 世界でも、気温と降水量、空気の乾燥度、そして強風が火災発生に大きく影響する。ただ海外では雷などによる自然発火が多いのに対して、日本の出火原因は、ほとんど人的要因による。多くは焚き火や火入れ、タバコの火の不始末などだ。


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