実は筆者も山火事を発見して通報したことがある。山歩き中に焦げた臭いと煙に遭遇し、119番に連絡したのだが、場所を伝えるのに苦労した。ようやく駆けつけた消防署も、山の中ゆえに消火用水の確保などに悩んでいたようだ。
鎮火数日後、現場を歩いてみた。幸い燃えた面積はしれていたが、急斜面を炎が一気に駆け上がった様子が焼け跡からわかった。そして火元は、登山客が休憩したであろう場所にある枯れ草の小さな一点だった。あきらかにタバコの不始末を思わせる。
火事は減っているが、大規模化
近年、山火事が相次いでいると感じる人は多いだろう。令和以降で毎年1200件~1300件の山火事が発生している。
昨年も大船渡市に始まり、愛媛県今治市、岡山市、奈良県川上村、三重県伊賀市、そして大分市佐賀関では集落の火災が山にも燃え広がった。それらが大きく報道されたことで「山火事が多発」したように思える。
ところが件数はここ10年ほど横ばいなのだ。むしろ長期的に見ると減少傾向にある。1960年~70年代は年間7000件以上発生していた。つまり多発どころか、激減している。
その代わりに目立つのは、大規模化だ。大船渡市の山火事では、市域の約9%、2900haが焼けた。またアメリカ、カナダ、スペイン、トルコ……と世界中で数千、数万haも焼くような大規模な林野火災がいくつも発生している。
なぜ山火事が大規模化したのか。極端な少雨、強風などの気象の影響が指摘され、背景に地球規模の気候変動があるとする意見も強い。その可能性は十分に考えられるが、同時に「山火事の件数が減った」ことが大規模化につながったことも考えられる。
小規模な山火事が相次ぐと、その度に林内にある落葉や落枝、枯木枯草などがしょっちゅう燃える。それで可燃物が少なくなれば、炎が大きくなりにくい。しかし、長く焼けていないと可燃物が蓄積されてしまう。それが大規模化を招くというのだ。
