2026年1月14日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月14日

 2025年のトランプ大統領は外国には高関税を課し、国内では政府機関や研究機関を攻撃し、議会を軽視するなど大暴れしたが、漁夫の利を得たのは習近平で、中国は富だけでなく支配力も見せつけたと25年12月18日付 Economist 社説が論じている。

(intriceight/gettyimages・dvids・ロイター/アフロ)

 25年、トランプ大統領は連邦政府機関を解体しようとし、貿易のルールを書き換え、世界中に平和を押し付ける一方、戦争になると脅した。しかし恩恵を受けたのは習近平だった。

 トランプは関税を使って中国を屈服させようとしたが、習によって形勢は逆転した。21世紀の超大国の覇権争いで今回は中国が勝ったのだ。

 25年は中国の支配力が示された。中国は世界の製造業付加価値の3分の1以上を占め、グリーン・テクノロジーでは中国が太陽光パネル、風力タービン、電気自動車の60~80%を供給する。

 習は中国の優位性を富の源泉としてだけでなく、力の源泉としても使うつもりである。レアアースの輸出規制は一例だった。

 特筆すべきは、トランプが国外では関税、国内では破壊的政策によって結果的に習に好都合な状況を創ってしまったことだ。トランプは同盟国と経済的統合を深めることで中国を経済的に包囲することもできたのだが、愚かにも関税を課して同盟国を疎外してしまった。

 同様に、トランプの研究機関に対する攻撃は米国のイノベーションを妨げることになろう。外国人科学者、特に中国人科学者への敵意で、才能ある人々は米国を去るか本国に留まることになろう。既に中国はこうした事態の恩恵を受けている。

 問題は、これらによって米中はどうなるかで、短期的には当然中国が有利になる。しかし長期的には中国のダイナミズムは中国の硬直した政治によって窒息させられる可能性がある。

 経済を見るとその理由がわかる。25年11月の工場渡し価格は1年前より2.2%低く、下落は38カ月連続だった。中古不動産の価格もピーク時に比して20%以上低く、今も下落は止まらない。

 中国共産党は26年こそ需要を喚起すると言っているが、戦略的製造業も強化するつもりで、中国を過剰生産に陥らせた考えは変えていない。1年後には、地方の州や市が負債の返済に苦しみ不況は続く可能性があり、諸外国が自国産業を守ろうと中国の低価格品の流入を阻止すればデフレが悪化しよう。

 しかし27年に4期目を始めるつもりの習に対し、周囲は反対意見を言えないようだ。中国では間違いが大きいほど党は路線を変更したがらない。


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