一方、米国は変化がビルトインされた社会だ。また中国は漢民族主体の国家だが、米国はあらゆる人種と信条に響く普遍的価値を土台に建国された国で、こうした価値が才能ある人々を惹きつけ、米国の世界的な影響力を高めてきた。理論的にはこれら全てが刷新の土台になるはずだが、トランプは普遍的価値など狡猾な外国人に利用される小道具だとして一蹴する。
そして最近発表された国家安全保障戦略が示すように、MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大にする運動に賛同する人々)は民族的、宗教的、多様性を強さではなく脅威と見ている。しかしロシアや中国のような単なる民族国になってしまったら、米国はその最大の強みを失うことになろう。
26年夏は独立宣言から250周年にあたり、建国の理念について議論する格好の機会になるはずだ。米国経済は今も世界の羨望の的であり、米国以外にこれほどの規模で新しい考えと資本を動員できるところはない。
そして人々には技能と進取の気性がある。理想的には、これは刷新への意欲の横溢を意味するはずだが、現実にはトランプによる公務員に対する報復的措置、そして議会の軽視によってどれだけ米国の展望が暗くなるかが問題であり、習はそうした米国の様子を注視することになろう。
* * *
第二次トランプ政権に準備してきた中国
本社説は、米中関係について常識的な判断を述べている。考えてみれば、大きな変革期にある米国と習近平路線を確立した中国をくらべれば、当然、中国に有利な結論となる。
トランプ後の米国がどうなるかがカギとなるが、ここはまだ見えてこない。米国が米国を支えてきた制度や価値観といった基本的なものを維持できれば、中国に対する米国の優位は長く続く。
他方、トランプの失点と米国の後退を中国がどの程度利用できているかは別の問題である。結論は、十分に利用できていないと見るべきだ。
覇権を確立し維持しようとすれば軍事的、財政的負担は巨大となる。米国は、ここに耐えかねて引いているわけだが、中国にはまだ、その準備はできていないし、本当に準備ができるかどうかも疑問である。
