2014年1月6日、中国国家鉄道局がひっそりと看板を掲げた。鉄道局は、2013年3月に解体された鉄道部の後継機関である。 中国の「部」は日本で言う「省」に当たり、鉄道局は降格された格好だ。しかも、引き継いだのは行政部門だけで、輸送等の事業部門は国有企業として発足した中国鉄路総公司が引き継いだ。実質的に権益を生む部門は鉄道局から切離されたのである。
中国でも、新しい組織が発足する際に組織の新しい看板を掲げるのは象徴的な行事である。ニュースでもよく見かける光景だ。しかし、鉄道局の「掲牌儀式」は報道されることもなかった。そのことが、鉄道利権が習近平主席に抑え込まれたことを示唆している。
中国では、習近平主席に率いられた「反腐敗」が現在も展開中である。石油利権の大ボスでもある周永康の処置もまだ決定されていない。中央政治局常務委員まで務めた周永康に対して法的措置を採られるとすれば、これまでになかった異例の措置になる。周永康が公に処分されれば、江沢民にまで手が伸びる可能性もある。江沢民派の抵抗は益々強くなるだろう。
中国では、現在でも権力闘争に勝利するための最終手段は「武装力量」であると信じられている。人民解放軍との手打ちを済ませた習近平指導部は、今後も、改革の前提となる権力掌握のための闘争を続けるだろう。既得権益の深層に切り込めば切り込むほど、既得権益側の抵抗は激しくなる。国内の権力闘争は対外政策にも影響を及ぼす。抵抗勢力は、指導部の権威を失墜させるために、周辺諸国との摩擦を故意に起こすこともためらわない。周辺諸国は、外交努力と相反する中国の強硬姿勢の背景を理解して対処する必要があるだろう。
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