豊漁報道の記事を読むと、今年のシラスウナギ漁獲量が昨年の倍程度であったということが豊漁の根拠となっている。下のグラフにもあるように、過去250トン近く獲れていたことを考えると、「資源状態が極めて悪いレベルの中の微かな動き」に過ぎない。国は未だ有効な規制をかけることができておらず、今後さらに資源を減少させる可能性がある。
ニホンウナギだけでなく、日本がその多くを輸入してきたヨーロッパウナギは、既に絶滅危惧種(CR)に指定されている。それどころか、最近では東南アジアやアフリカでもウナギを買い付けている。今年、IUCNは東南アジアなどに住むビカーラ種をLC(軽度懸念)からNT(準絶滅危惧)へと引き上げた。「日本をはじめとする東アジアがビカーラ種を狙っていることを懸念した結果です」とIUCNでウナギの評価決定に携わった中央大学の海部健三助教は説明する。
ウナギやマグロの例は、氷山の一角に過ぎない。日本は漁業のあり方を真剣に見直す必要がある。
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