Wedge REPORT

2014年7月22日

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違法行為でないクロマグロの乱獲

 太平洋クロマグロの資源量は歴史的最低水準にある。産卵場に集まるところを狙い獲れるだけ獲るやり方は褒められるべきものではないが、違法行為ではない。責められるべきはこうした漁業を許す仕組みにある。

水揚げされたマグロから取り出された魚卵やエラ

 水産庁のホームページには、農林水産省が策定した資源管理指針に基づく漁業者の取り組みとして、日本海における大中型まき網漁業の産卵期(6~8月)の成魚の総漁獲量を、原則2000トン未満に制限すると記載がある。

 だが、12年の総漁獲量は702トン(うち境港は583トン)と制限値の半分以下であり、形だけの規制であることが分かる。

 こうした状況で、国内はもちろん、海外からも注目されている「近大マグロ」は、人工ふ化させた稚魚を育てて出荷しているため、「資源回復の切り札」として期待される向きもある。

 ただ、1キロ太らせるのに、資源状態の良くないサバやアジなどの天然魚を中心に、10~20キロ前後のエサを与える必要があるなど、「安定的に人工ふ化させることを含め、持続的な水産物にするには、まだまだ課題も多い」(近畿大学白浜実験場の升間主計場長)のが現状である。天然のマグロは、目の前にある魚をエサ(養殖よりは少ない量といわれている)とするので、養殖と異なり自然と資源状態がよい魚をエサにしているともいえる。

 完全養殖は世界に誇る素晴らしい技術であり、今後の進歩に大いに期待したいが、「近大マグロがあるから資源管理は必要ない」ということにはならない。国が実効性の高い規制をかけるほか、マグロを救う解はない。

日本漁業の「惨状」と処方箋

 ここで日本の漁業の現状について触れておきたい。ピーク時100万人程いた漁業者数は、今や17万人程に減り、平均年齢は60歳を超えている。

 漁業生産量は1984年の1282万トンから2012年の486万トンへと、3分の1程度に減少した。OECD(経済協力開発機構)諸国の中で最悪の減少率であり、日本では漁業そのものが限界にきているといえる。

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