フランスの国鉄SNCFは26日、高速鉄道網が「悪意ある行為」の標的にされたと発表した。システムを機能不全に陥れることを狙った行為だとしている。影響で、列車が運休になるなどの混乱が生じている。首都パリではこの日夕からパリ・オリンピック（五輪）の開会式が予定されている。
当局などによると、パリの西部、北部、東部で高速鉄道TGVの3路線が被害を受けた。市内のモンパルナス駅には、利用客らの列ができている。
影響で、いくつもの列車が運休となった。SNCFは「週末にかけて修理を行うことになり、その間はずっと」この状況が続く可能性があるとしている。
SNCFは声明で、「SNCFは昨夜、高速鉄道の大西洋線、北部線、東部線で数件の破壊行為の被害に遭った。設備に損害を与えるため、故意に火がつけられた」とした。
SNCFによると、影響を受ける人は約80万人に上る。
フランス中北部ヴァルディエールの市長はBBCに、破壊行為を示すとみられる写真を公開した。そのうち1枚は、パリから143キロメートル離れたサン＝ペラン＝クルタランの線路で撮影されたとされるもので、焦げたワイヤらしきものが写っている。
BBCはこうした写真の真実性を独自に検証できていない。
パリ五輪への影響は
開幕寸前のパリ五輪への影響が懸念されている。
大会組織委員会は、「状況の評価を進めている」ところだと説明した。
国際オリンピック委員会（IOC）のトーマス・バッハ会長は、開会式などへの影響について「懸念はない」、「フランス当局を全面的に信頼している」と五輪選手村で記者団に話した。
ガブリエル・アタル首相は、「妨害行為」は「SNCFの施設に対して準備され調整された方法」で実行されたとの見方をXで示した。
また、鉄道網への影響は「大規模かつ深刻」だとし、治安部隊が犯人を捜索していると付け加えた。
SNCFのジャン＝ピエール・ファランドゥ最高経営責任者（CEO）は、仏BFMテレビで、フランスとフランス国民が攻撃されたと述べた。
また、「これは間違いなく週末ずっと続くだろう。復旧には時間がかかるので。（中略）今日は悲しい日だ」と話した。
