2024年12月22日(日)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年5月9日

 日本でも米国でも野球のシーズンが始まり、既にさまざまなドラマが生まれている。日本では、北海道日本ハムファイターズが昨年から本拠地としているエスコンフィールドの集客が好調だ。このエスコンフィールドのように、米国の「ボールパーク」の手法を日本でも取り入れる動きが出てきている。

北海道日本ハムファイターズが本拠地としているエスコンフィールド。米国の「ボールパーク」思想を取り入れている(時事)

 英語で言えば、野球場イコール「ボールパーク」ではあるのだが、野球場の設計において、米国では1990年前後から新たな考え方が導入されてきた。これが、野球界に与えたプラスの効果は顕著であり、この「新しい野球場」の考え方を「ボールパーク」という考え方で、日本でも検討が進むのは良いことだと考える。

 では、この「ボールパーク」の思想とはなにかというと、良く言われるのは、野球に「プラス・アルファ」の魅力を加えたエンタメ性ということだ。例えば、各球場には名物の食べ物がある。

 シカゴならホットドック、フィラデルフィアなら「チーズステーキ」という炒めた肉をはさんだサンドイッチという具合である。特にホットドックというのは、米国の場合に子どもたちが参加するリトルリーグの球場で売っていたり米国の野球文化には欠かせない。

 近年は、大谷翔平選手などの活躍により、アジア系のファンが増えたこと、一般の米国人にも日本の食文化が浸透したことなどから、西海岸を中心に野球場ごとに名物の寿司を売るようになった。さらにハワイ料理である刺し身を使ったポケ丼など、球場の「食」のバリエーションは広がりを見せてきている。

 その他にも、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドでは、野球を見ながら入れるプール(高額なスイート席の客専用)があったり、各球場の名物アトラクションがある。球場内に、永久欠番選手を表彰したチームの野球殿堂を作るなどということもよく行われる。

 ビジネスとしてバカにならないのはグッズ販売で、ユニフォーム(ジャージーという)、野球帽をはじめグッズ販売の店舗は球場内の各所に設置されているのが普通である。


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