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アメリカのカマラ・ハリス副大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が25日、米ワシントンで会談した。ハリス氏は、パレスチナ自治区ガザ地区で多くの死傷者が出ていることについて「深刻な懸念」を伝えたと記者団に説明した。これに先立ち、ジョー・バイデン大統領もネタニヤフ氏とホワイトハウスで会談。ガザでの停戦合意に向けた双方の「溝」を埋めることに努めたと、米政府は説明した。
訪米中のネタニヤフ氏は前日、連邦議会の上下両院合同会議で激しい口調で演説。パレスチナを支持する数千人が、議事堂前で抗議デモを繰り広げた。
ネタニヤフ氏に対しては、9カ月目に入ったガザでの戦争を終わらせるよう、イスラエル内外で圧力が高まっている。
ハリス氏はネタニヤフ氏との会談後、記者団に「率直で建設的な」話し合いだったと述べた。ハリス氏は、バイデン大統領の選挙戦からの撤退を受け、11月の大統領選で民主党の候補となることが有力視されている。
ハリス氏は記者団に、イスラエルと同国の自衛権に関し、自分は「揺るぎないコミットメント」をしてきたと説明。一方で、ガザでの軍事行動と「悲惨な人道状況」に対し「深刻な懸念」も表明したとした。
そして、「私は黙らない」、「もうこの戦争は終わりにしなくてはならない」と主張。「戦争終結に向けた停戦を実現させるため、合意を成立させよう」、「人質を帰国させ、パレスチナの人々が強く必要としている救援を届けよう」と述べた。
ハリス氏はイスラエルに対する強固な支持を表明している。しかしそうした姿勢は、民主党内で政治的に大きな代償を払うことにもなりうる。
同党の大統領選予備選では、イスラエルへの軍事支援をやめるよう求める数十万人が、バイデン氏への抗議票を投じた。
バイデン氏の姿勢に怒った人々の中には、ハリス氏が党内の亀裂を修復し、票を取り戻すことを期待している人もいる。
バイデン氏との会談でネタニヤフ氏は、バイデン氏とは40年来の知り合いであり、同氏が過去半世紀のイスラエルのすべての首相を知っていると説明。
「誇り高きユダヤ人のシオニストから、誇り高きアイルランド系アメリカ人のシオニストに対して、50年にわたる公務と、50年にわたるイスラエル国家への支援に感謝したい」と述べた。
また、バイデン氏と今後数カ月間、「目の前の大きな問題」に取り組むことを楽しみにしているとした。
これに対しバイデン氏は、イスラエルの首相で最初に会ったのはゴルダ・メイア氏だったと述べ、後任のイツハク・ラビン氏が補佐として同席していたとジョークを飛ばした。
バイデン氏とネタニヤフ氏の緊張関係
バイデン氏とネタニヤフ氏の関係は、ガザでの戦争をめぐってここ数カ月間、緊張状態にある。
バイデン氏の友人のチャック・ヘイゲル元国防長官によると、バイデン氏は5月に「もうたくさんだ」と発言したとされる。バイデン氏はまた、イスラエルがガザ南部ラファで大規模な地上攻撃を開始した場合、武器の輸出を止めると公然と脅し、イスラエルの怒りを買ったこともある。
ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は、この日の首脳会談について、人質解放交渉の緊急性や、紛争がレバノンに波及する恐れ、イランの脅威、和平交渉での「妥協」の必要性が話し合われたと、記者会見で述べた。
また、アメリカとイスラエルの関係は「溝が残っている」ものの、今も「健全」だと説明。「健全というのは、すべてにおいて同意するという意味ではない」とし、バイデン氏は「(ネタニヤフ)首相との関係に非常に満足している」と付け加えた。
ネタニヤフ氏は24日に米議会で演説した際、議事堂前の抗議デモ参加者らを「イランの役に立つばか者」と非難した。
これについてカービー氏は、「大半が平和的な」抗議者たちについて「私たちが使う表現ではない」、「私たちの考えを反映したものではない」と、米政府として支持しない考えを示した。
ネタニヤフ氏は26日、共和党のドナルド・トランプ大統領候補と会うため、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴを訪れる予定。
(英語記事 Harris tells Netanyahu 'it is time' to end war in Gaza)