2024年12月22日(日)

プーチンのロシア

2024年7月19日

 数日で終わるはずだったウクライナ侵略戦争(クレムリンの用語では特別軍事作戦)は2年半続いている。そしてロシアは苦戦しているとみられる。ロシアの国営テレビを見ていると、そうしたプーチン政権の〝焦り〟のようなものが見えてくる。 

プーチン大統領がベトナムなどを訪問したのは、焦りによる〝仲間づくり〟か(代表撮影/ロイター/アフロ)

 国営テレビの女性の宣伝隊長やその同僚の男性が過激な言葉使いで国際情勢やウクライナの戦況の展開を弁じている。時によるとほとんど狂気の態だ。

 ロシアメディアをウオッチしている米国人のJulia Davis氏がロシア国営テレビにおける彼らの議論をYouTubeの「Russian Media Monitor」というチャンネルで配信したり、英語に翻訳してX (旧Twitter)で世界中に拡散したりしている。

「ロシアは勝利する宿命にある」

 一方的にまくしたてる彼らの議論は例えばこうだ。

 「ロシアの正義の武器でロシア帝国の名誉ある臣民を復活させる」 「西欧はソドムとゴモラのように悪徳により滅びる」「ロシアは北大西洋条約機構(NATO)との全面戦争に向かっている。ロシアは勝利する宿命にある」「欧州の国境線は無くなる。それが神の思召しだ」  

 「NATOは欠陥同盟で第5条(集団防衛条項)は欠陥条項」「必ず勝利するロシア」「北朝鮮の兵士はいつ来るのか?」……など累々と続く。

 とにかく、「神の思し召し」が頻繁に出てくる。そして都合よく使われている。 

 ロシアがこの侵略戦争を優勢に進めているならば、彼らはこれ程高踏的にならなくてもいいはずだ。だが、その映像を見る限り、相当に必死の形相である。


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