2024年11月22日(金)

プーチンのロシア

2024年7月19日

 さらに、かなり頻繁に核の使用をほのめかしている。この点は重要なので、国際社会は特に注意し、必要な時には行動するべきだ。

 とにかく、数日で終わるはずだった大ロシア軍の侵略戦争は「調子よく進軍中」とはいえないにもかかわらず、実際に起きていることとは乖離した議論が展開されている。

仲間づくりにも奔走

 しかし、プーチン大統領はロシアにとって重要な友邦である国々には丁寧に戦況なり展望なりを説明している。

 プーチン大統領は、6月には、北朝鮮とベトナムを訪問し、その後、上海協力機構に合わせてカザフスタンで中国の習近平国家主席と会談した。プーチン大統領は、戦争犯罪の容疑で国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されているが、北朝鮮、ベトナム、カザフスタンはICCの設立条約であるローマ規程に署名、批准はしていないため、大統領逮捕義務はない。こうした国々をプーチン大統領が選んだのだろう。

 そして、去る7月9日には、インドのモディ首相をモスクワに招いて会談した。ロシアのウクライナ戦争や国際社会における立場に理解と支持を求めたに違いない。 

トランプ大統領再選への期待

 実際のところロシアにとって、最大の「神の思し召し」はトランプ大統領の再登場であろう。11月の米国大統領選挙によってトランプ氏が当選したら、ロシアはウクライナ戦争に勝利出来そうだし、 プーチン政権は一層、強権化していくだろう。

 それにトランプ大統領の主唱により西側諸国の対露経済制裁も解除されるだろう。そこを睨んでプーチン政権はトランプ氏の再登場を期して超極秘の「アメリカ工作」をしているはずだ。2016年や20年には事実そうであったと広く報じられている(「プーチン氏、親トランプで選挙介入か 米情報機関が公表」2021年3月18日)

 実際、7月13日に米国ペンシルバニア州で起きたトランプ氏への銃撃事件に対し、上記のJulia Davis氏はロシアの国営テレビで、「事件の背後には民主党がいる。民主党はドナルド・トランプを破滅させるためにあらゆる手を尽くしている」「ホワイトハウスの命令でウクライナの特殊部隊がこの事件の背後にいる可能性がある」との議論がなされたことを紹介している(“Russia Gloats Over Shooting: ‘Trump Has Biden’s Balls in His Hand’”)。

 また、ロシアの番組では、「これでトランプ氏は米国大統領に復帰する。これはウクライナへの死刑宣告である。ロシアはウクライナ軍を最前線に押し立ててベルリンまで進軍する」との議論も出ている。


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