2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月28日

 日本の集団的自衛権行使容認決定を受けて、ウォールストリート・ジャーナル紙は、これを歓迎する社説を7月1日付で掲載し、今回の決定の重要性を指摘しています。

 すなわち、日本の内閣は、7月1日に、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認した。これは、アジアの民主主義諸国の安全保障強化にとり、重要な、長年の懸案であった。中国政府に、中国の東シナ海での攻撃的な振る舞いが、如何に、日本に、地域でより積極的な役割を果たさせることになったのか、熟考を強いるであろう、ということも重要である。

 安倍総理がタカ派で、見直しの動きを強く推進した面がある一方、日本の安全保障環境により、解釈変更が必要不可欠となった。それは、中国の急速な軍事能力向上、そして、尖閣問題の現状変更のために中国が力を用いていることを含む。

 中国外交部は懐疑的な反応を示し、国営新華社通信は、日本が戦争の恐怖を弄んでいる、と非難する記事を発表した。しかし、過去5年間、中国の好戦的な言辞と一方的な行為は、地域全体に警戒感を与えて来た。

 日本が過去の軍国主義に戻る可能性は無い。今回の変更は、日本の軍事への制約のほとんどを取り除きはしない。これは、続くかどうか分からないプロセスの漸進的一歩であり、中国の行動に大きくかかっている。安倍総理は、連立パートナーである、平和主義の公明党の支持を得るために、妥協を強いられた。日本の集団的自衛権は、強く制約されたままであり、攻撃的能力は禁止され続ける。

 集団的自衛権についての新たなドクトリンは、日本が、日米同盟において、より対等な役割を果たせるようにするであろう。自衛隊が海外で攻撃的役割を果たすことはありそうもないが、部隊防護には参加するかもしれない。イージス艦は、日米を北朝鮮から護る、ミサイル防衛システムの一部となり得る。

 日本の大衆が、平和主義憲法を弱めることに、依然として躊躇を持っていることには、留意すべきである。大手通信社による世論調査には、集団的自衛権に関する憲法再解釈への反対が多数派を占める、というものもあった。安倍内閣は、再解釈に、立法措置ではなく、閣議決定を用いたので、注意深く進めなければ、大衆の反動に対して、より脆弱となる。


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