2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月30日

 日本も、東シナ海の尖閣諸島を巡って中国との小競り合いにずっと巻き込まれている。

 安倍総理は、中国が係争海域で強圧的行動に出ていることに強い懸念を表明して、自らの在職期間中に、東南アジア諸国との安全保障関係を深化させたいと思っている。

 日本は、既にフィリピンに対して10隻の監視船を供与することを約束し、ベトナムにも同様の計画を検討している。ベトナムは、最近、自らが主張する領域内で中国が石油掘削作業を始めて、大変困っている。

 今回の訪日で、アキノ大統領は、広島で開催されるミンダナオ平和会議で基調講演する予定にもなっている、と報じています。

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 集団的自衛権に関する与党協議が山場を迎えた6月24日に、日比首脳会談が開催され、アキノ大統領が安倍総理の安全保障政策を支持したことには大きな意義がありました。

 記事では、中国が南シナ海のほぼ全域を主張し、それに、比、越、台、ブルネイ、マレーシアが抗議していると書かれています。暗に、中国の主張がとんでもないということを示唆するとともに、東南アジア諸国とともに台湾が併記されています。

 ただ、尖閣諸島に関しては、中国名も記されているので、尖閣諸島が日本固有の領土であり、現在、中国が東シナ海や南シナ海で行っていることは、領海侵犯、すなわち侵略行為であることを、友好諸国とともに訴えて行くことが重要でしょう。

 日本で集団的自衛権を論じる場合は、米国との共同作戦をまず意識しますが、ここではフィリピン防衛に対する日本の協力が主眼となっています。日本側の意識では、この問題はむしろ武器輸出三原則の問題でありますが、この論説に示された米側の意識としてはフィリピンの防衛を日本が全面的にバックアップするということなのでしょう。それは、日本としては、集団的自衛権行使そのものよりも、集団的自衛権行使による意識改革によって実現されるもので、この論説にあるような米側の期待が高まるにつれて、日本側としても、東南アジア防衛が日本にとって有する死活的重要性の観点から、その覚悟をする必要がありましょう。

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