2024年12月26日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月6日

 米ハドソン研究所のハーマン上席研究員が、6月24日付ウォールストリート・ジャーナルに、中国のシェールガスは技術的、経済的にも採掘が難しいが埋蔵量は豊富で、米国の協力があれば回収が進み、新たなパートナー関係も生まれようとの論説を寄稿し、米中シェールガス協力の可能性について論じています。

 すなわち、中国に東シベリアから毎年天然ガス380億立方メートルを輸送する露中エネルギー取引の真の受益者は、プーチンとガスプロムである。シベリアのパイプラインを流れるガスは、他のアジア諸国へも販売できるようになるだろう。この取引は、欧州がウクライナ危機の余波によりロシアからのガス輸入を削減した場合の保険となる。中国が現在、資金援助の義務を負う4,000億ドルのシベリア・パイプラインは、あと4年は利用できないだろう。そして2020年には、同国需要のわずか10%を満たすに過ぎない。

 中国にとり、より良い代案は、自国に埋蔵されているシェールオイル及びガスの開発だ。しかし中国はこれまでで、米国の40,000井に対し、200以下のシェールガス井を掘削したに過ぎない。

 一つには地質上の問題がある。中国のシェール層は、粘土をかなり多く含み、地中深く賦存して、硫化水素のような致死汚染物質を含む鉱床もある。地理的な問題もある。中国最大のシェール・ガス田は、人口が密集する四川省にあり、アメリカ式のフラッキング(水圧破砕法)に要する膨大な量の水を手当てできない。しかし、最大の問題は、中国政府である。国の主要なエネルギー企業は国有であり、当然ながら専門技術の有無に関係なく、殆どの契約を得ている。

 ヒューストンに本拠地を置くeCorpは、化学物質を混入させた水ではなく、液体プロパン(LPG)でシェール井をフラッキングする技術を開発した。従来のフラッキングと違い、プロパンは可採ガスと共にパイプラインを流れるため、廃棄物が発生しない。


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