2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月22日

 カリフォルニア大学デービス校エネルギー・持続可能性研究所長のAmy Myers Jaffeと、シティグループのコモディティ調査部門長のEdward L. Morseが、Foreign Affairsウェブサイトに9月16日付で掲載された論説で、シェール革命による米国のLNG生産および輸出増によって、世界のエネルギー市場が再構築される、と論じています。

 すなわち、米国で非在来型石油・ガス生産が増えるにつれ、イランやロシアのような今日の石油国家の力は弱まり続けるであろう。

 ここ数年で増加した非在来型石油・ガス生産量は、シリア、イエメン、バーレーンでアラブの春の結果失われた石油生産量の3倍に上る。その他の炭化水素、サウジでの増産、そしてイランでの石油生産損失は、もはや、あまり意味をなさなくなった。

 エネルギー経済の頂点を目指す米国の競争において、輸出量は最も重要な側面でさえない。むしろ、最も重要なのは、石油とガスのゲームのグローバルなルールへの影響である。LNGが米国から輸出されるにつれ、ロシアにとっては、天然ガスを外交政策の道具として利用することが、より難しくなる。米国によるLNG輸出量の増加は、OPECの価格操作力をより制限することにもなるだろう。

 こうした状況は、従来反目しあっていたロシアと湾岸諸国を結びつける可能性がある。ロシア・アラブ連合を未然に防ぐ最善の方法は、開かれたエネルギー輸出を促進することである。米国の石油と天然ガスは、利益が出る所、米国の反トラスト法を活用できる場所へ輸出されるべきである。米国の売り手は、競争に基づいて価格を設定する必要がある。

 自由エネルギー貿易政策は、21世紀のかなりの間にわたり、米国の力と影響力を興隆させる可能性がある。2007-8年の金融危機により損なわれた、自由貿易、開放的なグローバル投資と資本の流れという長年のビジョンは、少なくとも、エネルギー分野では回復するだろう。

 米国は、世界のエネルギー価格の変動に晒されることにはならないであろう。米国の生産量は、現在の合理的な水準で価格を維持しつつ、少なくとも、更に25%はほぼ確実に上昇するだろう。加えて、米国市場は、統合された北米市場から隔離されているわけではないので、米国は自身でエネルギーを輸出することにより、貿易の恩恵を享受できるかもしれない。


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