2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月7日

 中国は、いま米国と競争している。競争者と扱えば競争者になるとか、彼らの行動を批判すれば、敵対的にしてしまうなどいっている余裕はない。政治家、軍人は中国との関係について率直な議論をし、中国との長期的な平和的競争に、備えるべきである、と論じています。

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 米国内での中国に関する言説が、中国に気を使うあまり、不必要な制約を受けているというフォーブス議員の認識は的を射ています。そういう状態を変え、もっと率直に中国のことを議論すべきである、というのもその通りです。

 中国の軍事費の伸びはこれから中国が世界でどういう役割を果たすべきかについての中国指導部の判断により決まります。外国での中国脅威論の影響などないに等しいと思われます。

 中国の行動が国際規範に反する時には、これは率直に批判、抗議すればよいし、そうすべきでしょう。これを、中国を刺激するなどと言って遠慮するのは全くの間違いです。

 中国との有事の際にどうするかは、中国を刺激するからということではなく、手の内をさらさないと言う観点からあまり公然と議論することでもありません。政府当局者は、中国の反応も考え、発言には気を使うべきでしょう。政府当局の発言と一般的な論議のあり方は、区別して考えるべきです。

 中国には、自由な言論はありません。それで中国は、日米も同様に考え、民間の議論も政府見解の代弁のように考えて反応する嫌いがあります。こういう問題には、違いを判らせる努力を根気強くしていくしかなく、彼らの主張に配慮する必要はありません。

 なお、米国防総省が、中国の抗議にも拘わらず、「中国の軍事力」という報告書を継続して出して来たのは良いことです。中国に関する言説への制約が、米国ではそうひどくなっていない証左と言えるでしょう。

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