2024年12月14日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月7日

 6月25日付の米CSIS Pacific Forumのサイトで、J. Randy Forbes米下院軍事委員会シーパワー・投射戦力小委員会委員長が、米国内で中国の台頭や軍事力についての議論が不必要に制約されているが、これを変え、もっと率直な議論をするべきである、と論じています。

 すなわち、2年前、中国との関係における競争的要素を、もっと率直に議論すべきであると主張した。中国についての議論が不必要な制約を受けていると感じたからである。アジア・太平洋で力の均衡を保つためにも、率直な議論が必要である。

 その後、事態は改善された。オバマ大統領は、尖閣諸島について強い立場をとり、ヘーゲル国防長官やラッセル国務次官補の発言も、より真剣なものになっている。

 しかし、米国防総省は、中国に対抗するためにどう予算を付けるか、もっと説明すべきである。

 他にも問題がある。海軍作戦部長のグリーナート提督は、学生から米軍が中国軍に対抗する戦術などをどう討議すべきかと質問され、そういうことを公然とすると、不必要に中国を刺激すると答えた。

 中国を敵扱いすることになるから、米国が、中国の軍事目標やそれに対抗するのに何をするのか話せないというのは、海軍や国家にとって間違った政策である。

 この問題についていくつかの点を見てみる価値はある。

 第1に、軍や文民の指導者は、中国の西太平洋における軍事的行動について明確に発言すべきである。中国が隣人をいじめ、一方的に現状を変えようとしたり、航行の自由に挑戦したり、地域での安全保障規範を破るような軍備増強をした時には、明確に発言すべきである。米国が規範に基づく国際システムのリーダーであり続けるなら、そうすべきである。

 第2に、中国を刺激しないように自己抑制すると、中国に我々の議論の内容に拒否権を与えることになりかねない。

 第3に、民主主義では、自由な発想が、学会だけではなく、広く交換されることを必要とする。

 第4に、大国は神経を強くすべきである。米国は内外で良く批判対象になるが、批判を受け入れる。中国も大国になろうとするなら、そうすべきである。

 第5に、秋には新しい海洋戦略が出される。ここでは、中国の軍近代化、米海軍力の役割への明確な見通しが示される。もし海軍が新しい能力を必要とするなら、何故必要か、説明するべきである。


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