株価と収益見通しが主要な関心事のアナリストたちに説明するミーティングにも何回も出席し、アナリストに対して将来の業績についての数字的根拠を示すなど、上場会社トップとしての責任も果たしてきた。
苦難の歴史を乗り越え
「和製メジャー」に
北村氏が経産省出身だけに、あらゆる面で同省が支えてくれたプロジェクトかと思っていたが、石油公団からの出資を得られなかったこともあったという。北村氏は「政府や関係企業が支援する日の丸開発プロジェクトには違いないが、経産省主導でプロジェクトが進められたわけではない」と言い切る。
資源開発というリスクの大きな分野で、安定供給を果たすのは困難な役割だったが、いまでは独り立ちしてアジア諸国や日本のLNG供給になくてはならない「和製メジャー」を目指すともいえる存在になりつつある。「イクシスLNGプロジェクト」の成功により、INPEXはようやく「メジャー」の仲間入りを展望できるだけの実績を作った。
「現在、日本のLNG需要年間約6500万トンの約1割を『イクシスLNGプロジェクト』が供給している。2030年代までは、最大年間930万トンを出荷して、40年間は使える。生産量のキャパシティーは決まっていないが、イクシス周辺や権益を新たに獲得した別の鉱区で生産を拡大する余地はある。
もう一つのインドネシアのアバディプロジェクトは、来年中に最終投資決定して、30年代初めに生産を開始する計画だ。これは『イクシスLNGプロジェクト』より大きい、年間LNG950万トンを生産できるキャパシティーがある。本格稼働すれば、イクシスと2本柱になり、LNGの安定供給に寄与する」(滝本氏)
豪州の場合、LNGなどの権益を獲得するとその権利はほかの国と違って無期限だという。その意味からも、これからも需要の増加が見込まれているアジア、日本のエネルギー安定供給に豪州のLNGが大いに役立つのは間違いない。
米国からのLNGを運ぶ計画についてはどうか。滝本氏は「米国の原油やLNGの生産地・積出港はメキシコ湾側にあり、そこから運ぶとなると、200万バレルを積んだ大型タンカー(VLCC)はパナマ運河を通航できないのでアフリカの喜望峰を回って55日から60日かけて日本に運ばなければならない。昨今の中東危機でタンカー運賃も高騰しており、採算面で厳しくなるので、米国の西海岸から積み出せないと、優先的に供給するということにはならないのではないか」と話し、西海岸から輸入するための港湾設備などインフラ整備が必要との見方を示した。
