2024年4月19日(金)

中国メディアは何を報じているか

2014年8月12日

浙江省洞頭県の双擁関連会議での郭正鋼(写真右)(2010年4月・洞頭新聞網サイト)

 中国軍が盛んに威嚇し、海洋、上空、そして宇宙に兵を進め、勇ましいスローガンを唱えているが、肝心の元軍人の社会保障という根本のところで制度が破綻していることが窺えるだろう。中国社会において退役軍人の問題はもはや治安維持という面に止まらない、深刻な社会問題になっているにも拘らず、国防という大義のためにこうした問題に社会全体の関心は向かず、政府は問題に蓋をしようとしてそればかりか、威勢の良い宣伝文句ばかりを配信している。

 また、記事からも窺えるが、政府が懸命に行う愛国主義や国防教育のプロパガンダの背後にはこうした軍民関係の齟齬があり、同時にここに多額の費用が投入されて利益集団化していることも想像できよう。国民的歌手として有名な習近平主席夫人の彭麗媛少将は、軍の歌劇団団長も歴任し、各地で軍部隊を慰労してきたが、双擁関連のコンサートで退役軍人、軍属を慰労するのも重要な仕事だ。

 汚職容疑で捕まった谷俊山は地方で軍の名義で土地を転がして巨額の暴利を得てきたし、汚職の噂が絶えない郭伯雄元中央軍事委員会主席の息子郭正鋼大佐は浙江省軍区で退役軍人対策の責任者を務めている。勇ましいスローガンの背後に深刻で複雑な内部事情があるのだ。

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