2026年9月17日(木)

教養としての中東情勢

2026年9月17日

 大統領にはせっかく苦労してまとまった合意が壊れることを恐れ、革命防衛隊のバヒディ司令官に怒鳴り込んだ。司令官は攻撃の計画を知らなかったし、承認もしていなかった。国防、外交の政策を決定する最高国家安全保障委員会(NSC)も蚊帳の外だった。

 イラン側はその後も商船ら3隻を攻撃、これに反発した米国は13日間連続でイランを空爆した。覚書は破綻した。トランプ大統領はイラン側を「くず」と罵倒した。

 将軍らと政府当局者らの間で怒鳴り合いが起こり、指導部内が対立した。混乱を沈静化させるためNSCの事務局長は力のあるレザイ元革命防衛隊司令官に交代した。イランの治安当局が調査したところ、船舶攻撃の命令を出したのはタエブ司令官であることが分かったという。

 同司令官は米国との交渉に一貫して反対してきた人物だ。20年間、革命防衛隊情報部を仕切ってきたが、イスラエルのスパイの浸透を許す事件が相次ぎ、故ハメネイ師が2022年に更迭、現最高指導者モジタバ師がバシジの司令官に任命した。

 タエブ司令官らはその後も対米交渉を担ったアラグチ外相らを非難し続けた。革命防衛隊空軍のムサビ准将らは攻撃を激化させて戦線を拡大させるという計画をNSCに提案、ペゼシュキアン大統領や交渉の最高責任者であるガリバフ国会議長らは米国の反撃を招き、イラン経済が今以上に悪化すると反対した。

超保守派に取り込まれるイラン

 サウジ攻撃にフーシ派やイラクの武装組織を使って戦線を拡大するという作戦が一定の効果を上げているのを見れば、タエブ司令官らの超保守派の勢力がイラン指導部内で力を持ち始めているのは確かだ。超保守派に保守派や穏健派が引きずり込まれている。

 トランプ政権はアラビア海での海上封鎖でイランの石油輸出をストップさせるという経済的圧力を強めているが、最高指導者のモジタバ師を取り込んだ超保守派の勢いは止まりそうにない。インフレや通貨安、燃料不足に悩む国民を無視する超保守派が力を持つ限り、戦争は終わらないだろう。

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