サイバー空間の権力論

2014年8月14日

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塚越健司 (つかごし・けんじ)

拓殖大学非常勤講師

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

Microsoft、シマンテック……
続く中国の締め出し

 Apple締め出しに先立つ今年5月、中国政府は、政府機関が利用するコンピュータから、Microsoftの「Windows8」の利用を禁止している。政府は省エネ製品の購入に関する規定として通達したと述べているが、当時サポートが終了したWindowsXPを政府内で使用し続けている事例が多かったことから、サポート期限を海外に握られることを恐れた中国政府が、今後も同様の事態が生じないように先手を打ったと思われる。あるいは、Microsoftに圧力をかけることで、XPの延長サポートを引き出そうとしたとの見方もある。いずれにせよ、中国政府は海外製品に対する懸念を示しているのだ。

 Microsoftの困難は続く。8月6日、中国政府はMicrosoftが独占禁止法違反にあたるとして、国内4箇所にあるMicrosoftの事務所を同時に家宅捜索した。西側諸国は当然これに反発。対して中国は大企業の独占禁止法違反の疑いは珍しいものではないとして反論している。

 さらに中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」が8月に報じたところによれば、中国政府はセキュリティソフトを調達するサプライヤーリストから、「ノートン」で知られる米シマンテック社と、ロシアのカスペルスキー社を除外したことを明らかにした。両社とも今回の措置は一部の種類の調達のみの禁止であり、すべてが中国から締め出されたわけではないと述べているが、いずれにせよ海外製品の中国における影響力は減少する一方だ。周知のように、中国では独自の検閲システムによって、GoogleやFacebook、Twitterといったサービスが基本的に利用不可能になっていることも忘れてはならない(その代わりに、バイドゥやウェイボーといった中国産の検索サイトやSNSがある。もちろん国産のサービスが悪いというわけではなく、問題は海外製品の締め出しにある)。

中国の狙いは何か

 こうした措置から我々は何を読み取るべきか。まず考えられることは、中国の海外製品に対する不信だ。2013年にエドワード・スノーデン氏が暴露したアメリカの監視の実態から、中国が海外、特にアメリカ製品にはバックドア(裏口)が仕掛けられており、海外製品を利用すると国内の秘密が知られてしまうのでは、といった危機感を持ったことが考えられる。

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