そして地元開催のW杯で、ドイツは低い下馬評を覆して3位という好成績を収める。この望外の結果は、組織化された育成システムによって才能を伸ばしつつあった次世代の選手たちを大いに刺激することになった。
彼らは、ドイツ人選手や国内の育成機関出身選手のメンバー入りを義務付ける「ローカルプレーヤールール」の恩恵を受け、自国のリーグを舞台に着実に成長。かつては主要なポジションを占めていた外国人選手たちに取って代わる存在となっていった。
強いクラブに傾斜配分
協会からリーグ、リーグからクラブへの資金の流れを見ると、代表選手を出したクラブ、リーグ成績の良いクラブに傾斜配分されている。例えば昨季の放送権料(国内)の総額は972億円で、均等割なら1クラブあたり約27億円だが、連覇を達成したバイエルンには51億円余りが配分されている。
つまり、クラブはレベルの高い選手を育てることがトップチームの強化に直結し、それはすなわち収入の増加をもたらすのだ。さらにフル代表や世代別代表を輩出することで協会からの金銭的サポートも享受できる。こうした巧みなシステムによって、自国選手の育成に明確なインセンティブが付与されていることがわかる。
ドイツの注目すべき点は、代表チームが一貫してひとつのスタイルを目指し続けてきたことだ。最大の功労者は現在も代表監督を務めるヨアヒム・レーブ。アシスタントコーチに就任した04年以来10年間、ドイツ代表のサッカーを緻密に組み立ててきた(06年W杯後に監督に昇格)。
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