2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2014年9月1日

自社配送を目論むベゾス

 アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは「我々アマゾンにあってウェブヴァンになかったもの、それは既存の膨大な顧客ベースだ。我々の顧客は本や家電と一緒に食料品もネットショッピングしてくれるはずだ」と、アマゾンフレッシュの事業化に自信を見せる。

 アマゾンが所有する巨大倉庫から消費者宅まで食料品を運ぶのは、アマゾンが独自で運営している緑色のトラックだ。これまでアマゾンは、運送大手の米フェデックスや米UPSを下請けで利用していた。しかし、アマゾンフレッシュを手始めに自社配送ネットワークを構築しようとベゾスは目論む。

アマゾンフレッシュの日本上陸はあるか (REUTERS/AFLO)

 アマゾンにとって年々増加する配達費用は頭の痛い問題である。2011年には40億ドル、2012年には51億ドルに跳ね上がった。これらの費用を抑えるだけでなく、食料品以外の商品も同じトラックのラインに乗せることで、効率化も推進したい狙いだ。

 生鮮食料品のオンラインビジネスは、在庫管理や新鮮なまま配達を完了させなければならないなど多くの点でリスクが大きい。しかし、ベゾスはどうやら、繊細な商品を取り扱うアマゾンフレッシュをあえて、自社配送の試験台に使う目的のようだ。将来的に自前のロジスティックス網を持つことで、「時間通りに商品を配達する」という部分まで完全にコントロール権を掌握しようとしているのだ。

 しかし、フェデックスやUPSからの完全な離脱は困難というのが大方の見方だ。ノウハウの構築、及びアマゾン全体の物流をこなすだけの人材の確保は一朝一夕にはできないからだ。ベゾスは、「フェデックスもUPSも、アマゾンの成長に見合った投資を行っていない。だから自分でやる」とあくまで意気軒昂だが、30から40の都市圏へのサービス拡大は噂だけが飛び交い、具体的な計画は伝わってこない。


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