2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月25日

 ブレトン・ウッズ体制下の組織と新興国の銀行構想の大きな相違は、分担金の配分にも表れている。アジア開銀では、日本が15.7%、米国が15.6%を占めるが、中国は、5.47%しか占めない。

 中国によるアジア・インフラ投資銀行の構想は、シルク・ロード沿いのインフラに投資するもので、無視できない中国のソフト・パワーの手段となろう。それは、中国の海軍力よりも魅力的なものである。中国は、既に、この構想に参加するよう、中央アジアや中東を含む約20か国位に声をかけている。ただ、日本は誘われていない。

 IMFと世銀に代わるもう1つのシステムの誕生を我々は支持すべきだろうか。中国は、ゲームのルールを書き換えようとしているのだろうか。まだわからない。しかし、新興国が、既存のシステムから離れた思考をすることを非難することはできないだろう。実際、米国議会がIMF改革を阻止しているように、西側が国際機関の改革をためらっているうちに、彼らは一生懸命になっているのである、と述べています。

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 7月15-16日とブラジルでBRICS首脳会議が開催されました。プーチン大統領、習近平主席、そしてインドのモディ首相らが出席しました。

 上記は、それに先駆け7月7日付で書かれた論説記事です。経済力、軍事力を強めた中国が、今度は、金融制度を創設しようとする姿を描き、それを中国のソフト・パワーとして捉えています。一方、日米欧に対しては、既存の国際機関を、現実に即して制度改革することを期待している論説です。

 中国主導の銀行が、どれほど発展するかは、まだ解らない話ではありますが、規模が壮大で、中国がそれを支える資力を持っている話なので、閑却はできません。

 最近、環境問題、インフレ等、中国経済の将来を危ぶむ論説が多いですが、日本が直面すべき問題は、いつの間にかここまで大きくなってしまった中国を如何に扱うかと言うことです。有り余る富を蓄積し、そして、一党独裁の下に、それを国家の政策目的のために自由に使えるような体制にある中国と如何に向き合うべきかです。


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