2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月8日

 また、あまりに多くの「トラ」を退治することも危険だ。一般市民が現体制の腐敗を真に理解し始める一方、党の長老たちは、次は自分の番だと思うだろう。そうなれば、彼らは習に歯向かうことになりかねず、習の意図と逆に、党の結束は崩れる。従って、習と王は反腐敗運動をどこかで止める必要があるが、目下のところ、運動は全開状態だ、と述べています。

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 習近平の反腐敗運動が何を意味するかは、外部からは、憶測するしかありませんが、それは、権力闘争でしょう。中国指導層の中での汚職腐敗は普遍的であり、一部の権力者に限られないからです。そして、それが単なる党、政府内の主導権争いの権力闘争ならば、一昨年の党大会、昨年の全人代で決着がついたはずであり、現在はそれの延長線上の、習近平の独裁体制確立のための権力闘争だと思われます。

 記事は、4中全会で法の支配について協議するとの共産党の発表に言及していますが、全ての統治機構を法に従わせるという、本来の意味の法の支配ではなく、共産党が法の上に位置し、法を支配力強化に用いるということです。腐敗撲滅運動と同じような構図と言ってよいでしょう。

 この記事で、興味深い点の一つは、習近平の改革は、王岐山とパートナーを組んでしている、と言っていることです。王岐山は、最近では、リーマン・ショックに際して、四兆元の景気刺激策を断行して、危機を乗り切った実績で評価されています。能力、見識において優れた人物のようであると言われています。あるいは、毛沢東に対する周恩来のような役割を果たしているのかもしれません。

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