2024年11月21日(木)

中国メディアは何を報じているか

2014年9月30日

「世界最大の人事部門」

「観察者」ネット(2014年9月4日)に転載された本記事。http://www.guancha.cn/society/2014_09_04_264198.shtml
中央組織部庁舎写真を載せている
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 中南海(中国の指導者が仕事、生活をする天安門広場の横のエリア:筆者)から1キロと離れていない北京市西長安街の南側に何の表札もないビルがある。ビルの北から南にかけて東西両側にも別館が配置され、三方を囲まれた中庭を配している。敷地の中央は緑地があり、東西両側にも埋め込み式の庭園、緑地帯になっていて落ち着いた雰囲気になっている。長安街に面した繁華街の喧騒著しい西単の商業圏とは顕著な違いを醸し出している。ここがまさに共産党中央組織部の所在地だ。

 ある人は同部を世界最大の人事部門(Human Resource)に例えるが、全国8000万超(8668万人)の党員、約60万の党と政府の指導幹部を管理し、任務の複雑さと不明確さからすれば、多国籍企業の人事からは想像もできないだろう。

 中央組織部の設立は比較的早いが、正規の作業や任務が秩序だってしっかり作られたのは1950年代である。長年ここで仕事をしたある元幹部によると、中国の幹部管理は「党による幹部管理」と「職務名簿」の二つからなる。各自治体の組織部は「権限」に則って組織の「名簿」上の幹部を管理しており、今日までこの制度は基本的に変わらない。

 過去数十年で「名簿」範囲は数回調整が行われた。1984年に中央は各自治体党委員会による幹部に対する管理をもともとの「下級2階級管理」を「下級1階級」に改正した。張全景元部長(1994~99年;後任は曽慶紅:筆者)によると、省・部レベル幹部の他はもともと庁レベル、司・局レベルも中央組織部管轄だったが、こうした権限を地方に移譲し、中央組織部は単に省・部レベル幹部だけを管理するようになり、対象人員は1万3000人余から4200人程度に圧縮された。

 「改革開放」以降、どう次世代を育てるかが重要任務になった。元老の1人で、中国建国前にゲリラ戦根拠地である延安駐屯していた際に同部部長であった陳雲は何度も、幹部グループは党の次世代後継者であり、代々継いでいくべきだと何度も強調していた(党の後継者に太子党が中心的役割を果たすのは彼のこうした主張が影響していると言われる:筆者)。1982年に陳雲の提案に基づいて同部では青年幹部局を設けて「予備幹部」(中国語では「後備幹部」と称し、幹部候補生の意味:筆者)の選抜、任用を担っている。青年幹部局も「名簿」で予備幹部管理を行う。1985年までに「名簿」に掲載された予備幹部は10万人を超えた(省・部レベル1054人、各省組織部、各部人事局が管理する地庁レベル1万8000人。地級市・州の組織部が管理する県課長(処と呼称)レベル9万6000人)。


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