Wedge REPORT

2014年10月4日

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 このうち、「火山性微動」と「火山性地震」の違いをおおざっぱにいうと、「火山性微動」は、主にマグマ自体が地下で何らかの動きを始めたことが直接的にわかる連続した震動で、「火山性地震」は、主にマグマに起因する間接的な水蒸気爆発や岩石破壊などによる震動である。今回、9月11日から急に回数が増えていたのは火山性地震の方だ。

 火山性微動は、マグマが地下で上昇してきたときなどに観測され、山体膨張と同時に観測されることが多いが、今回は、火山性微動は噴火の11分前、山体膨張は噴火の7分前という、まさに直前まで共に観測されなかった。

 つまり、気象庁は、これら二つの観測データが変化することを待っていたと考えられる。「マグマが少し動き出したからか、地下水が熱せられて水蒸気になり体積が爆発的に大きくなることによる地震が繰り返されているようだ。少し、警戒すべきだが、マグマ自身が大きく動き出したという兆候はまだ無いので、そちらの異状も観測されたら警戒レベルを2に引き上げよう」と考えていたのではないかと想像できる。「3つの要因の内の火山性地震という一つの異状だけで、警戒レベルを引き上げる判断はしにくかった」というのが、会見で課長が話した「噴火の前兆との判断は難しかった」の意味だと思われるのである。

 マグマ本体の動き出しにこだわったわけだが、それまで「死火山」に分類されていたこの御嶽山が「活火山」であることを知らしめた1979年の噴火は、まさに、今回と同じ水蒸気爆発による噴火であり、マグマ自身が噴火したものではなかった。

 当時、「死火山が噴火した」と報道されたことからもわかるように、火山の歴史は、人類の知見を越えているし、数十年、数百年の観測データからでは、何千年、何十万年の火山の振る舞いの周期や前兆を知ることは難しいことは理解できる。

 それでも、噴火は、地震と比べると直前の兆候を把握しやすく、また、それによる減災の効果も大きい。噴火の前には、必ず、地下で何らかの動きが起こるし、火山という限られた領域からの避難もしやすいからだ。

 しかも、今回は、火山性地震という一つのデータで明らかに異状が出ていたのであり、それ以上のデータが出て確信を得るまでもなく、とりあえず、レベルを2にあげておくことはできなかったのかと思ってしまう。

登山客や市民への情報提供こそが大事だった

 気象庁は火山別に設定された噴火警戒レベルを解説したリーフレットをすべてホームページに掲載している(御嶽山は下記)が、そこには、警戒レベル2について下記の記載がある(http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/level/Ontakesan.pdf)。

<警戒レベル2>
●地震活動の高まりや地殻変動等により、小規模噴火の発生が予想される。
【過去事例】
2007年3月後半:79-7火口でごく小規模な噴火が発生し、北東側200m範囲に降灰
2006年12月~2007年2月:山頂部直下でわずかな山体膨張及び火山性地震・微動の増加
1991年5月中旬:79-7火口でごく小規模な噴火が発生し、東側200m範囲に降灰
1991年4月~7月:火山性地震・微動の増加

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