2024年11月26日(火)

ペコペコ・サラリーマン哲学

2009年6月29日

 会長がそう言えば、会社のなかではもう、決まりです。それで私は、「わかりました。それでは社長のところへお願いに行って参ります」と言ったら、「ちょっと待った。私がそういう発想をしたということは、一切言ってはダメですよ。あなたがいま、私は行って参りますって意志決定したのだから、あなたの意見として言いなさいよ」と言われてしまいました。釘をさされちゃったのです。

 仕方がないので金川千尋社長のところへ行って、「社長、当社は接待を受けなさすぎるという話がちらほらあるうえに、接待のお返しをする予算がないので、その予算を増やすという案を持って参りました。ご了解いただけますでしょうか」と言いました。

 そうしたら社長が、「自分は昔から、接待は全部、徹底的に受けてきた。そして接待するほうも徹底的にやってきた。売るときには、接待を徹底的にやったし、買うときには、接待を徹底的に受けてきたけど、この年になって考えると、やっぱり売るときには一生懸命やるけれども、買うときには、あんまり一生懸命接待を受けないほうがいいなと感じている。だから、この接待のお返しをする予算は今後認める」とおっしゃいました。

 そうなると、会長と社長が別々に、接待を受けたあとのお返しの予算にOKをくれたことになります。だから私は、購買担当役員として、購買部長のところへ行って、「いま、社長から接待を受けたあとのお返しの予算を、これからずっと、永続的に増やしてもらったから、そんなに大きな金額ではないが、予算の申請書を経理部長(私のことですが)宛に出したまえ」と言いました。

 購買部長から来た申請書に、経理・財務担当役員の経理部長である私が許可の判を押す。そのうえに、私が自筆で、社長殿、会長殿、と書いて、ファイルに入れて回したのです。社長も会長も知っていることですからOKという判になりました。それだけ整えば、基本的に予算が今期は特別予算、来期からは経常予算として許可をもらったことになります。

会長の狙い

 実は小田切会長は、はじめから「私を使ってそういう予算をつくって、接待を少し受けて、もうちょっとゆとりのある会社にしなさい。そして、そのお返しはちゃんとしなさい」という発想がありながら、会社の安全性を考えて、先に私の購買担当の役員の実質的地位をいとも簡単に外してしまったのです。それから7年間、購買担当役員をやりましたが、私だけは1回も(お茶もコーヒーも食事も昼も夜も)買入れ先からごちそうになったことはありません。

 さらに会長は「当社は経理・財務だけは、必ずまじめな人間を担当にするという伝統を持っているのです」なんておっしゃいました。ですから私は、購買担当は外される、一方では経理・財務で悪いことが一切できないような状態に、ギューっと押し込められてしまいました。


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