2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月21日

 ただ、インドシナ半島に近いため、観光や漁業は有望だが、先住民や熱帯雨林の保護の必要から、使える土地が限られるなど、障害も多い。アンダマンを一大軍事拠点にするには、長い時間がかかりそうだ、と報じています。

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 インド領であるアンダマン諸島は地図を見れば判りますが、戦略的に重要な位置にあります。マラッカ海峡を通過する船舶ににらみを利かせる位置にあり、インドネシアのスマトラ島に隣接しています。そして、インドと東南アジアの連結点にあります。

 インドが「ルック・イースト」政策を実施し、かつマラッカ海峡を通行する中国船舶をけん制する適地です。実際に中国船舶の通航を妨害するのは戦争でも起こった状況しか考えられませんが、チョーク・ポイントを押さえていることは一定の影響があります。

 インドがアンダマン諸島の戦略的価値に着目し、海軍力などの配備を増強している動きは注目に値します。アンダマン諸島がインド軍の一大拠点になるには、この記事が指摘する諸問題があり、時間がかかるでしょうが、中国のシーレーン確保策と言われている「真珠の首飾り」戦略に、大きなくさびを打ち込む効果があるでしょう。

 インドは、大国として、当然、自国の利益を最優先にしますが、親日的な国でもあります。インドのアンダマン諸島での軍事力強化は、日本にとって不都合をもたらす怖れはなく、歓迎すべきことでしょう。

  
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