2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月3日

 8月26日付の豪戦略政策研究所(ASPI)のブログ・サイトStrategistで、Amit Gupta 米Air War College准教授が、アボット豪首相は、9月のインド訪問の際、地域の権力政治、特に中国問題には触れず、専らインドの経済開発計画に話を集中すべきである、と論じています。

 すなわち、アボット豪首相が9月初旬にインドを訪問する際は、地域の権力政治には触れず、インドの経済開発に焦点を当てるべきだ。豪州とインドは、ミドル・パワーとして、中国を封じ込めるために協力すべきだとの意見は、良くないアイデアである。

 その理由の1つは、インドは外交政策上、非同盟中立を取るので、反中連合には加わる準備が出来ていないからだ。米日印豪の「津波連合」のアイデアが出されたこともあったが、インドは、中国封じ込めが目的となり得る連合からは、いつも距離を置いていた。

 もう1つの理由は、中国の習近平主席が9月中旬以降にインドを訪問する予定であり、インドのモディ首相は、自ら掲げるインドの開発計画に中国からの援助を得たいと思っているからである。

  一方、話が経済開発に移れば、アボット首相は、ウラン以外にも、インドに提供できることが多々ある。モディ首相の与党は、議会で多数を占めるので、インド議会は、容易に、数々の法案を通すことが出来るだろう。その中には、航空、鉄道、防衛、インフラ、エネルギー、保険、金融、保健衛生、教育及び観光に関するものが含まれる。モディ首相は、既に、防衛、鉄道、保険及び航空産業への外資導入を増やしている。他の産業も、外資に対して開放される予定であり、豪州は、多くの分野で競争力を有す。

 その1つの例がソーラー・システムである。インドは、2022年までに、再生可能エネルギーを40ギガワット以上生産する計画を立てているので、外資にとっても利益の上がる市場と言える。


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